そんな中、バイデン大統領が連邦政府機関に対し、暗号通貨のリスクとチャンスを判断するよう求める大統領令を2月に出すための準備を進めていると、ブルームバーグが報じた。
この大統領令は、ホワイトハウスを暗号通貨に対応する政府の取り組みの中心に据えるもので、暗号通貨がもたらす経済的、規制的、国家安全保障的な課題を詳細に説明するものだという。また、様々な政府機関に対し2022年後半までに報告書を提出するよう求める可能性があるという。
デジタルアセットマーケットメーカーのGSRのアナリストは、「バイデン大統領は、暗号通貨に関する包括的な政府の戦略の概要を示す大統領令を準備しており、連邦機関にそのリスクと機会を判断するよう求めている」と最新のレポートに記し、ビットコインとイーサリアムの低調なパフォーマンスは、「リスク資産の全般的な売りに起因している」と警告した。
政府機関や規制当局は昨年から、急成長する暗号通貨市場を掌握するのに苦労しており、通貨監督庁(OCC)、証券取引委員会(SEC)、商品先物取引委員会(CFTC)らは、この業界の様々な側面を連邦法に準拠させるための方法を模索している。
SECのゲイリー・ゲンスラー議長は昨年、暗号通貨取引の監視を強化するためにSECにさらなる権限を与えるよう議会に要求した。「暗号通貨業界では詐欺や悪徳商法、乱用が横行している。我々は、規制の隙間を突く取引を防ぐために、権限の強化を求める」と、議長は8月に述べていた。
一方、暗号通貨業界の幹部は、規制が明確でないことを非難し、その結果、暗号通貨やブロックチェーンの導入で米国が他国に遅れをとる危険性を警告している。
コインベースのブライアン・アームストロングCEOは、昨年末にウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿した論説の中で、「私が懸念しているのは、起業家や企業が規制当局から何を期待されているのか、ほとんど見えていないことだ。当局が取る立場は、一貫性や公平性を欠いている」と述べた。
「消費者保護」が焦点に
暗号通貨市場の極端なボラティリティーは、規制当局に投資家を保護するために行動を起こすようプレッシャーをかけている。
ロンドンに拠点を置くブロックチェーンの分析企業Ellipticのリサーチャーは、先週発表したレポートの中で、「消費者保護は、2022年の暗号通貨業界の規制の焦点となる問題であり、消費者保護当局はこの業界の今後を決める上で大きな役割を担うことになる」と記している。
先週、ロシアの中央銀行は、暗号通貨が金融の安定性や市民の暮らし、金融政策の主権を脅かすことを理由に、ロシア政府が中国にならってビットコインやイーサリアムなどの暗号通貨を禁止することを提案した。