ライフスタイル

2022.01.30 11:30

サステナブルを前面に ミシュラン「グリーンスター」店の実践

鈴木 奈央

Noeud. TOKYOシェフを務める中塚直人氏

「Noeud」とはフランス語で繋がり、結び目を意味する言葉である。生産者とレストランの、また、生産者とゲストの、器などの工芸の技術を将来へ繋ぐ……そうしたすべてのものを、未来へ向けて繋いでいくための場にしたいという思いが店名に込められたレストランだ。

ホームページには、オールサステナブルという言葉で、その意気込みが綴られている。つまり食をベースに、持続可能な社会を目指すレストランでありたいということなのである。

2020年、コロナ禍の7月にオープンし、2021年11月に「ミシュランガイド東京2022」で一つ星とグリーンスターを獲得した。グリーンスターとは、環境に配慮した営みがなされている店に対して贈られる、2021年度版より制定された新しい賞だ。

シェフを務める中塚直人氏は、「一つ星を取ったことも大変光栄ですが、自分たちがやろうとしていることが理解されたという思いから、グリーンスターの受賞のほうが実感がわきましたし、嬉しかったですね」とそのときの気持ちを語ってくれた。

きっかけは、生産者訪問


ここ「ヌー.トーキョー(Noeud. TOKYO)」は、京都に本社を構えるウエディング会社「TAGAYA BRIDAL」の経営するレストランである。中塚氏は、グループ内で、神戸の披露宴会場の料理長として、一切を取り仕切っていた。

料理人としての経歴は、京都のフレンチレストランから始まった。3年後、TAGAYAが京都に披露宴会場を立ち上げるのを機に入社し、以来、20年以上一筋に研鑽を積んできた。フランスへ研修に行く機会にも恵まれたが、人生の晴れの日を祝う料理を作れることに何より誇りを持って働いてきた。



サステナブルに対する意識が芽生えたのは、TAGAYAで仕事をする中でのことだという。

「神田(TAGAYAの社長)が意識の高い人で、国連がSDGsを採択した2015年からその言葉をキャッチし、一般にはまったく浸透していない頃から、ストローを紙素材に変えたり、ペットボトルの使用をやめようとか、使い捨てのビニール傘を禁止するなど、少しでも地球環境にプラスになることを、と一つずつ行動に移していったんですね。そんな中で自分も、環境に負荷をかけたくない、地球に優しくありたいという思いが少しずつ強くなっていきました」
次ページ > 「レストランをやりたい」

文=小松宏子

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事