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2022.01.30 11:30

サステナブルを前面に ミシュラン「グリーンスター」店の実践


あるとき、新郎新婦から、友人が作っている野菜を料理に使ってほしいというリクエストをもらい、実際に生産者の畑に足を運んだ。そこで野菜を見せてもらい、土づくりから栽培まで、いろいろな努力をしている話を聞く機会に恵まれた。実際その野菜がすごく美味しく、それを機に生産の現場にとても興味がわき、さまざまな生産者のところを訪ねるようになったのだという。

中塚氏は、「正直、それまでは市場の八百屋さんに材料を揃えてもらうのが常態でした。披露宴というと百人単位ですから、どうしてもそうならざるを得ないのですが。ところが、積極的に産地を回るようになって初めて、生産者と繋がりを持ったレストランができたらいいなという気持ちが、少しずつ芽生えていったんです」と言う。

そして2019年12月の末、社長の神田氏に、思い切って「レストランをやりたい」という気持ちをぶつけた。結果は、快諾。早速、具体的なコンセプトづくりや物件探し、デザインへの展開までが始まった。

「もちろん、個人で店を出すことも考えなくはなかったのですが、バックアップがあるほうが、広がりができ、大きくものを動かすことができます。だから私は、TAGAYAの経営の中で、シェフとして、一切を切り盛りする方向でやってみようと決意したんです」

「オールサステナブル」の実践


まずコンセプトとして挙がったのが“オールサステナブル”。でき得る限り、環境に配慮し、食の健全な未来を描けるようなレストランにしていこうというものだった。

料理の中でそれを実践することはもちろん、食器や内装などにおいても、そのコンセプトを表現していくために、デザインの面では、元ユニクロUSAのクリエイティブディレクター、梶友宏氏とタッグを組むことになった。

例えば内装では、京都の蔵を解体した際に出た、安土桃山時代の京都聚楽土を再利用して壁を作り、愛知県のお寺の危険木として伐採された杉の木をカウンターや個室のテーブルにし、屋久島で間伐材として伐採された屋久杉がウッドパネルとなってして壁を彩っている、といった具合だ。



さて、“食”に関しては、具体的には、どのような形でオールサステナブルを実践しているのであろうか。

まず、食材は、ほぼすべて、顔を知る生産者から仕入れている。自分の目で確かめ、自然環境にも体にもよいと思われる素材を厳選する。「コロナ禍で開店が遅れた分、生産者を徹底的に回りました。足を運べないところはZoomで話したりとか、あの状況下でできる限りのことはしたつもりです」と中塚さんは言う。
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文=小松宏子

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