同時期配信の「エミリー」とは違う魅力
1998年から放送が始まったオリジナルの「SATC」が支持されたのは、時代のカルチャーを反映した30代の女性たちの生き方に対する共感であり、シリーズがいまでも支持され続けているのは、ドラマで描かれるキャリーたちの悩みや生き方に普遍的な要素があるからです。
リブート版においても、時代の息づかいを感じる演出は欠かせないものですが、「多様性」がそれであるとすると、オリジナルと比べると挑戦的な意味が少し弱いように筆者は感じました。
オリジナルは有料チャンネル発のドラマとして、差別化を狙い、先鋭的な作品であることが評価されました。けれども既に多くの動画配信サービス発の作品で「多様性」が扱われている現在、リブート版が新しい見せ方になっているとは言い難いものがあるからです。
リブート版の価値は、50代の女性たちを主役に据えたドラマであることで間違いないでしょう。時代の先を行く成熟した女性の生き方を描くドラマになるだろうと、リブート版に注目したファンも多いはずです。
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キャリーたちと同世代の女性はもちろんのこと、その下の世代にとっても、かつてオリジナルが果たした、女性たちに励ましを与えるドラマであることにこそ、大きな価値があります。白髪を隠さず、ファッションスタイルを貫く50代になったキャリーたちの姿は変わらず生き生きとしています。
リブート版は10話までが予定されています。この10話全体で、既存のファンも納得し、新規のファンも獲得できるストーリーになれば、成功と言えるものになるでしょう。
リブート版ではオリジナルのプロデューサーであるダレン・スターも現場を離れました。スターがプロデュースするリリー・コリンズ主演のNetflixのドラマシリーズ「エミリー、パリへ行く」のシーズン2が奇しくもほぼ同時期に配信され、旬のカルチャーが投影された作品として好評を得ています。
とはいえ、キャラクターとしてはまだ20代のエミリーは、50代のキャリーたちの年季には敵いません。リブート版「SATC」は、回を追うごとに成熟した登場人物たちが本領発揮し、最後まで見届けたくなるシリーズとなるでしょう。
連載:グローバル視点で覗きたいエンタメビジネスの今
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