キャリア・教育

2022.01.30 17:00

NOをなくすと面白くなる? NO「NO」法

最近「公園の禁止事項が多すぎて、子どもの遊ぶ場がない」ことが問題になっている。キャッチボール禁止、ボール蹴り禁止、大声を出すのも禁止……。それ以外にも、私たちの身の周りには「これって本当に必要?」と思えるルールで溢れている。本来誰かを守るためのルールが、過剰すぎると、人は窮屈さを感じ動けなくなってしまう。NOにNOをつきかえしてみるとどうか。想像力が働き、ポジティブな変化が生まれるかもしれない。今回は、実際の成功例とともにNO“NO”法をご紹介する。


「ボールで遊んではいけません」「ここで騒がないで」「お手を触れないでください」

最近、どこへ行っても「NO」だらけ。もちろん守らなければいけないルールはあるのですが、それが多すぎると、なんだか窮屈に感じませんか?今回は、先日訪れたとある場所で聞いた話をきっかけに、窮屈なルールをポジティブに転換するコンセプトを考えてみました。

キャラものの筆箱から学んだこと


先日、三人の子どもを育てる友人から、子どもが通っている小学校の面白い教育方針の話を聞きました。その友人の話では、最近「トラブル防止」という名目で、キャラものの筆箱をもってくることがいろいろな学校で禁止になっているのだとか。そんななか、友人の子どもの担任はそれをOKにしているといいます。そこで、友人が先生に「なんでこのクラスだけOKにしているんですか?」という質問をしたところ、「ルールで縛りすぎたくない。逆にルールを破る子がいるくらい余裕があるほうが、子どもたちが安定している」と話されたそうなのです。その話を聞いて、私はハッとさせられました。

ルールは時に人を縛りすぎて、萎縮させてしまうことがあります。これがダメなら、あれもダメかも。ネガティブなルールは次々と連鎖して、「ダメかもしれない可能性」を想像させ、人を動けなくさせてしまう。NOの力はとても強力で、その短い一言が想像以上に多くのものを奪っていきます。

例えば、先ほどの「キャラものの筆箱」に代表されるように、トラブルが起こるかもしれないからNOという、グレーゾーンをすべて黒にしてしまうネガティブなルールのつくり方は、トラブルを起こさない人たちが享受できたはずの喜びや、想像力を奪ってしまっているのではないでしょうか。

では、そんなNOを、まるでオセロをひっくり返すように転換してみると、いままで抑圧されてきた人たちから、もっと創造的でポジティブなアイデアが生まれてくるかもしれません。そんな逆転の発想から生まれたコンセプトが、過剰なNOをなくしてみる『NO“NO”法』です。
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文 = 高橋鴻介 イラストレーション=尾黒ケンジ

この記事は 「Forbes JAPAN No.087 2021年11月号(2021/9/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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