米政権、「ロシアの天然ガス供給停止」を視野に協議開始

ジョー・バイデン米大統領(Chip Somodevilla/Getty Images)

バイデン政権は1月25日、ロシアがウクライナをめぐる紛争の激化に伴い欧州への天然ガスの供給を停止する可能性があることから、中東、北アフリカ、アジアなどの複数の国に不足分の供給を求める協議を開始したと発表した。

バイデン政権の関係者は、ロシアがウクライナに侵攻した場合、米国やNATO諸国がロシアに対する制裁を実行すれば、ロシアは報復として欧米市場への燃料供給を停止する可能性があると述べた。

ホワイトハウスの発表によると、バイデン政権は世界中の主要な天然ガス生産者に、生産量を一時的に急増させ、現在、消費量の約3分の1をロシアに依存している欧州連合(EU)のために供給する意思があるかどうかを尋ねている。

ロシアはすでにウクライナ経由での欧州への天然ガス供給を半減させており、ホワイトハウスは想定される燃料不足のほとんどをカバーできる見通しだと述べている。

ロシアは国家予算の36%を石油やガスからの収入に依存しており、ロシア財務省によると、2021年の石油・ガス収入は総額1190億ドル(約13.5兆円)に達していたという。

ロシアがウクライナに侵攻した場合の対応策としては、年間550億立方メートルの天然ガスを欧州に送ることができる「ノルドストリーム2」パイプラインの起動を中止することが提案されている。パイプラインの稼働を遅らせることで、ロシアは数百億ドルの収入を奪うことになる。

一方でEUは現在、天然ガスの約34%、原油の約27%をロシアに依存している。

編集=上田裕資

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