世界のNFTアーティストが「メタ」の支配を警戒する理由

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オーストラリアのNFTアーティストのSerwah Attafuahは、メタのプラットフォームから距離を置こうとしている。インスタグラムで2万人のフォロワーを持つ彼女は、そこで作品の宣伝を行っていたが、ここ最近、詐欺や著作権侵害などが相次いだ結果、インスタグラムの利用を減らしているという。

フィナンシャル・タイムズ(FT)は1月20日、メタが傘下のフェイスブックとインスタグラムのプロフィールにユーザーが所有するNFTを表示する新機能に取り組んでいると報じた。しかし、Attafuahは、フェイスブックやインスタグラムに可能性を感じないと述べている。

「正直言って、どちらのプラットフォームも信用できない」と彼女は言う。

フォーブスが取材した他のNFTアーティストたちも、インスタグラムから逃げ出し、ツイッターなどの他のプラットフォームに移動している。彼らは、ソーシャルメディアの巨大企業であるメタが独自に立ち上げるNFTプラットフォームに懐疑的だ。

「DreamingatDusk」と呼ばれるアート作品で200万ドルを売り上げ、世界で最も売れる女性NFTアーティストと呼ばれるイッツェル・ヤード(Itzel Yard)も、インスタグラムにはなりすましが溢れていると話す。「誰かが私のインスタグラムをスクレイピングして、そこからすべてを取り出し、マーケットプレイスのOpenSeaに投稿していたことがあった」と、彼女はフォーブスに語った。

NFTの専門家やアーティストたちは、いくつかの理由でメタの戦略を警戒している。メタは中央集権的なビジネスモデルを展開しているが、NFTコミュニティは分散化と自律性を重視している。メタは自社のプラットフォーム上のコンテンツを検閲しようとしているが、NFTのアーティストは表現の自由を尊重している。さらに、メタは大金を稼げるWeb3のイノベーションを利用するために流行に乗っているだけではないかという疑念もある。
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編集=上田裕資

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