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2022.02.01 07:00

家具・家電もサブスク 「所有」の不自由さからの解放へ

AGキャピタルの鮫島卓(左)とクラスの久保裕丈(右)


久保:起業家は、悩みを打ち明けられる相手がなかなかいないもの。特に投資家の場合、下手に相談をもちかけると、「この会社は大丈夫なのか」と思われかねない。でも、鮫島さんは「ちょっと問題が起きてまして」というところから聞いてくれる。他社の事例や解決策を教えてくれますし、妙手がない場合も、お話しすることで気持ちが楽になって、そのうえで「この山は越えなきゃいけないんだな」と覚悟ができる。それが本当にありがたくて、クラス創業のときも1番に相談したんです。
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鮫島:久保さんは実績のある経営者ですし、あとは何をやるのかだけが確認事項でした。家具のレンタルは、個人的には確信がもてなかったのですが、詳しい話を聞くと将来性を感じ、今回は絶対にIPOまでもっていきたいという強い信念にもほだされて、久保さんならやり遂げるだろうとの予感から投資をコミットしました。実際、いまは事業計画を上回る勢いで推移しています。サポートすることがないくらいですね。

久保:いまは家具・家電が中心ですが、そこで終わるつもりはなくて、今後は扱う領域をどんどん広げていきます。大きいモノ、重いモノ、価格が高いモノ。この3つのうち2つが該当していれば、我々が扱うべき対象だと思っています。モノを所有する不自由さを自分自身が感じて着想したサービスなので、そこから消費者や企業を解放していきたい。

鮫島:その着想と構想力、実行力が久保さんのすごいところです。クラスの創業時、耐久消費財でレンタルのサービスは少なかったし、サブスクという言葉も浸透していなかった。振り返れば、ミューズコーを始めたときも、フラッシュマーケティングという手法は普及前でした。時代の先端のビジネスモデルを事業に仕立てあげて、トップランナーとして走っていることは素晴らしい。
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久保:僕自身は自分を極めて凡人だと思っているんです。でも、最後まで心が折れない、逃げないということだけは強く誓っている。それもあって、いつもそっと背中に手を置いてくれている鮫島さんのような方がいる安心感は本当に大きい。

鮫島:そう言ってもらえて光栄です。困ったことがあったら、いつでもメッセージを待っていますよ。


さめしま・たく◎AGキャピタル代表取締役社長。1957年、鹿児島県生まれ。明治大学法学部卒。81年、東京リース(現東京センチュリー)入社。91年、国際ファイナンス(現AGキャピタル)入社。2008年より現職。

くぼ・ひろたけ◎クラス代表取締役社長。1981年、東京都生まれ。東京大学大学院新領域創生科学研究科修士課程修了。A.T.カーニーを経て2012年にミューズコーを設立。15年に同社をミクシイに売却。18年4月、クラスを創業。

文=眞鍋武 写真=平岩亨

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