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2022.02.01

家具・家電もサブスク 「所有」の不自由さからの解放へ

AGキャピタルの鮫島卓(左)とクラスの久保裕丈(右)

久保裕丈は2015年2月、自身が起業したファッションECサイトのミューズコーをミクシィに売却。その後、連続起業家としてクラスを18年4月に創業した。同社は家具・家電レンタルのサブスクリプションサービス「CLAS」を提供。必要なときに利用して、不要になったら返却できる利便性や、エシカル消費への意識の高まりなどを受けてユーザーは拡大し、21年3月には延べ貸し出し点数が3万点を超えた。

アイフルグループのCVC、AGキャピタル代表取締役社長の鮫島卓は、創業時からクラスに出資している。鮫島はなぜ久保に投資したのか。


鮫島:実は、久保さんの会社に投資したのはクラスで2度目。最初はミューズコーで、そのときは初対面の場ですぐに投資を決めました。

久保:そうでしたね。2014年10月のことだったと思います。

鮫島:信頼している投資家からの紹介だったので、事業がしっかりしていることはわかっていて、あとは久保さんがどんな人物かを見極めるだけでした。私は投資検討するうえで経営者の人間性を重要視していて、初回面談の際には、その人の生い立ちから現在に至るまでを根掘り葉掘り聞いていくんです。家庭や学校、友人関係など、どんな環境で何をやってきたのかがわかると、例えば、窮地に陥ったときに逃げない人なのかなどが見えてくる。

久保さんは浮ついたところがなく、ビジネスやITの知識も経験もあり、熱意に満ちていたので大丈夫だと思いました。すると、投資実行した14年11月から3カ月でミューズコーはM&Aが決まり、私の投資経験のなかでも最短の回収期間になりました。

久保:初回面談のときは、鮫島さんのご経験も聞かせていただきました。すごく物腰が柔らかいけれど、たくさんの危機を乗り越えてこられたことを知り、起業家に助けを求められたときには、投資家として無理にかかわる必要がないようなことでも手を差し伸べる方なのだと。実際、イグジットまで短い期間でしたが、人材や組織の課題について、本当によくサポートいただいた。

鮫島:キャピタリストとして40社ほどに投資をして、その半分以上がイグジットを果たしていますが、成長する過程では、みんな似たような問題に必ずぶち当たるんです。この先に起きることと、その対策をお伝えして、なるべく経営者が本業に専念できるようにしています。
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文=眞鍋武 写真=平岩亨

この記事は 「Forbes JAPAN No.087 2021年11月号(2021/9/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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