このラウンドを主導したのは、世界最大級のスピリッツ(蒸留酒)ポートフォリオを擁するビームサントリー(Beam Suntory)だ。
今回の資金調達ラウンドには、他にもパワープラント・パートナーズ(ビヨンド・ミートをはじめ、プラントベース=植物由来技術を擁する企業に積極的に投資してきた実績を持つ)、クワドラント・キャピタル、モノグラム・キャピタル・パートナーズ、ビーチウッド・キャピタルが名を連ねた。
この資金調達ラウンドは、ハードコンブチャの市場が本格的に勢いを増しつつあることを示すものだ。アルコール飲料市場の分析を専門とする調査会社IWSRによると、北米におけるハードコンブチャの販売量は、2020年の1年間で175%増加。さらにこのカテゴリーは、2025年までに75%増となると予測されるという。
フライング・エンバーズは、今回調達した資金でブランドを強化し、米国内での商品展開を拡大する計画を立てている。投資のかなりの部分は、ハードコンブチャのカテゴリーに新たな消費者を呼び込むために使われる見込みだ。
フライング・エンバーズの創業者で最高経営責任者(CEO)のビル・モーゼズ(Bill Moses)は、「調達した資金は、新たな市場にリーチし、このカテゴリーの知名度を高めるためのマーケティング施策の強化に使われる」と語る。「加えて、研究開発とイノベーションの創出にも、ある程度の資金を割くつもりだ。さらにこれと並行して、社内での醸造、微生物研究、製造能力に関してもテコ入れを図っていく」
フライング・エンバーズの製品ポートフォリオは、ハードコンブチャやハードセルツァーで構成されている。前者には、ウォーターメロン・バジル、キューカンバー・ジュニパー、ブラックチェリーなどのフレーバーがあり、後者は、グアバ・ハラペーニョやウォーターメロン・チリなど、ボタニカルエキスやスパイスが添加されたフレーバーが特徴的だ。
さらに同ブランドは最近、新たに缶入りのワイン・スプリッツァーを発売した。これは、酵母を使って発酵させた、炭酸を含むアルコール飲料で、白、ロゼ、赤の3タイプがある。また、アルコール度数が約7%と高めの「ストロングタイプのハードコンブチャ」も、製品ラインアップに加わった。