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2022.01.25

後発薬を格安販売、米富豪がオンライン薬局開設

マーク・キューバン(Photo by Rich Fury/Getty Images)

米著名投資家で富豪のマーク・キューバンが、100種類以上のジェネリック医薬品(後発薬)を手ごろな価格で購入できるオンライン薬局を立ち上げた。製薬企業との価格交渉を「徹底的に透明化」することを目標に掲げている。

名称は「マーク・キューバン・コスト・プラス・ドラッグス・カンパニー(MCCPDC)」で、20日にサービスを開始した。発表文によると、医薬品卸売会社として登録しており、中間流通業者を通さずメーカーから直接購入することで低価格を実現している。

たとえば、白血病の治療に用いられるイマチニブの小売価格は1月分9657ドル(約110万円)だが、MCCPDCでは47ドル(約5300円)で販売している。

取り扱っている100種類超のジェネリック医薬品の販売価格は、メーカー出荷価格に15%上乗せし、薬剤師が受け取る手数料3ドル(約340円)を加えた額だという。

MCCPDCによると、ジェネリック医薬品のマークアップ率(販売価格と原価の比率)は平均で少なくとも100%となっており、ウォールストリート・ジャーナルの報道によれば1000%を超える場合もある。

MCCPDCでは保険金請求の手続きはしておらず、客には自費での薬代の支払いを求めている。ただ、MCCPDCでの薬の販売価格は大半の保険プランの免責額や自己負担額よりも低いと同社は説明している。購入には医療機関から新たな処方箋を得ることが必要になる。

低価格ジェネリック医薬品企業というアイデアは、MCCPDCの最高経営責任者(CEO)を務めているアレックス・オシュマヤンスキーがキューバンに持ちかけ、昨年1月の起業につながった。

米国では2015年、製薬ベンチャー、ターリング・ファーマシューティカルズのマーティン・シュクレリCEO(当時)が、エイズウイルス(HIV)感染者も使う薬の価格を20倍以上につり上げ、強い反発を招いた。この一件などをきっかけに、オシュマヤンスキーとキューバンはMCCPDCのような企業が必要だと考えるようになったという。

キューバンは昨年、フォーブスのインタビューで、ジェネリック医薬品の現在の価格設定は「ばかげている」と語っていた。

MCCPDCはテキサス州ダラスで1100万ドル(約13億円)を投じて医薬品工場の建設も進めており、年内の完成をめざしている。

キューバンは米プロバスケットボールNBAのダラス・マーベリックスのオーナーでもあり、フォーブスによると20日時点の推定資産額は45億ドル(約5100億円)。MCCPDCへの出資額は明らかになっていない。

編集=江戸伸禎

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