北京五輪でカメラマンが「凄い」と感じた中国の力とは?

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とにかく辛かった、会場への移動


唯一大変だったのは移動でした。

今大会は3地区で開催され、北京地区内ではバスやタクシーによる移動でしたが、延慶地区へは高速鉄道で30分弱、バスに乗り継いでさらに1時間ほど。張家口地区へは高速鉄道で1時間弱、こちらもバスに乗り継いでさらに1時間ほどかかりました。

高速鉄道もバスも乗ってしまえば快適でしたが、バスの乗り方がわかりにくかったり、本数が少なかったり、乗り継ぎにも時間がかかったり、かなり負担が大きく、評判も良くありませんでした。

圧倒的だった中国のオペレーション力


ただし、それをそのままにしておかないところが中国の「オペレーション力」の凄さ。わかりやすいMAPを作って配ったり、バスの本数を増やしたりして、日々どんどん改善されていきました。


Photo by AFLO SPORT

コロナ対策も、毎日のPCR検査に加え、手指消毒薬の配置・使用やN95などのマスク着用・配布、そして机や床などの消毒も、常にボランティアスタッフによって徹底されていました。

オリンピックにはこういったボランティアの力が欠かせません。IOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長も閉会式で感謝の言葉を述べていましたが、マスクをしていても笑顔でフレンドリーに接し、サポートしてくれました。

懸命な運営に加え、春節の飾り付けで楽しませてくれたり、張家口の会場ではビンドゥンドゥンの雪だるまを作ったり、厳格なバブルの雰囲気を明るく演出してくれました。

そして、取材や会話などでは発言や行動が厳しく管理されているようでしたが、フィギュアスケートの羽生結弦選手の単独記者会見の時にはスマホを手に会場に詰めかけるなど、大会を楽しんでいるような一面も見られました。

今回の北京五輪、このテクノロジーと人々の力が、とても強く印象に残っています。



高橋誠
◎アフロ所属。1977年生まれ、北海道出身。五輪取材は今回の北京で8回目。その経験を活かし、自身での撮影に加え、現地デスク業務もこなす。

編集=宇藤智子

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