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2022.01.20

ジョコビッチ、コロナ治療謳う「謎の企業」への出資が発覚

ノバク・ジョコビッチ選手(Photo by Burak Akbulut/Anadolu Agency via Getty Images)

新型コロナウイルスのワクチンの未接種を理由に、オーストラリアから追放された男子テニスのノバク・ジョコビッチ選手が、デンマークの謎めいたバイオ企業に投資していたことが1月19日のロイターの報道で明るみに出た。

ジョコビッチ選手と妻のジェレナ・ジョコビッチは2020年6月に、バイオテクノロジー企業QuantBioResの80%の株式を非公開の金額で購入していたという。

QuantBioResは、「共鳴認識モデル(RRM)」と呼ばれるテクノロジーを用いて、新型コロナウイルス感染症の治療法を開発すると主張しており、同社のCEOのイヴァン・ロンカレビック(Ivan Loncarevic)はロイターに対し、夏には臨床試験を開始する予定だと述べている。

RRMは、電磁波を利用して高分子の機能を解析する技術で、ロンカレビックCEOが共著した6月にInternational Journal of Sciencesに掲載された論文によると、新型コロナウイルスのRNA複製プロセスを阻害する治療法の開発に役立つ可能性があるという。同氏は、「EUとデンマークの公的及び私的なファンドから6900万ドルを調達した」と、リンクトインのプロフィールに記載している。

QuantBioResのウェブサイトは2020年7月から更新されておらず、従業員や取引に関する情報は記載されていない。ロンカレビックはフォーブスからのコメント要請を拒否し、ジョコビッチの代理人は返事を返していない。

オーストラリア当局は、ジョコビッチ選手の残留を認めることは反ワクチン感情を刺激するという理由で彼のビザを取り消した後、国外に退去させていた。

ジョコビッチは、ワクチンへの反対意見を述べる以外にも、他の疑似科学的な理論を支持しており、2020年には、「水の分子構造は人間の思考によって変えられる」という科学的根拠のない主張を行っていた。

ロンカレビックCEOと、RRMに関する論文の共著者2名は、昨年1月にイベルメクチンを新型コロナウイルス感染症の治療薬として使用することを支持する研究を発表していたが、FDA(米国食品医薬品局)は、これはイベルメクチンの危険な誤用だと述べている。

ジョコビッチは、QuantBioResへの投資を行う直前の2020年4月に、初めて反ワクチンの姿勢を示し、「個人的に、私はワクチン接種に反対している」とフェイスブックの動画で述べていた。

フォーブスは、ジョコビッチ選手の昨年の年収を3450万ドル(約40億円)と試算している。そのうち約3000万ドルがエンドースメントによるもので、彼のスポンサーのほとんどは、彼が全豪オープンから撤退して以降も彼を支持している。

編集=上田裕資

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