調査を主導するギリ・レゲフヨカイ教授は、4回目の接種により、新型コロナウイルスに対する抗体は3回の接種後よりも増加することが確認されたと説明。4回目の接種を受けた後に感染する人は依然として多いものの、3回接種の場合よりわずかながら少ない数になっていると述べ、高リスクの人には2回の追加接種を行う方がよい「可能性もある」としている。
つまり、現在イスラエルが対象としているのは60歳以上の全員だが、それよりもさらに高齢の人に限定すべきとの見方だという。同国では今のところ、60歳以上のほか免疫不全の人、医療従事者が4回目の接種の対象となっている。
調査は同センターでファイザー製ワクチンの接種を4回受けた154人と、ファイザー製3回の後にモデルナ製1回の接種を受けた120人を対象に行った。4回目の接種後の状態について調査した結果が明らかにされるのは、これが初めて。
レゲフヨカイ教授はこの結果について、現時点で未公表の予備研究に基づくものであり、査読を受けたものでもないと説明。オミクロン株への感染による入院や死亡を防ぐ効果についてのデータは、明らかにしていていない。
「特化型」ワクチンを待つべきか?
ワクチンの追加接種については、それによって得られた感染予防効果が時間の経過とともに低下するとの調査結果が発表されている。英国の保健当局の調査でも、3回目の接種から10週間以内に、大幅に効果が薄れるケースが多いことが示されている。
イスラエル紙タイムズ・オブ・イスラエルによると、同国はこうした調査結果を受け、他国に先駆け昨年12月下旬から4回目のワクチン接種を開始した。これまでに50万人以上が2回目のブースター接種を受けている。また、チリやデンマークをはじめ、その他のいくつかの国もすでに、同様の対応に踏み切っている。
米国でも、ウェストバージニア州のジム・ジャスティス知事(共和党)が今月初め、高リスクの住民の割合が高いためとして、疾病対策センター(CDC)に対し、2度目の追加接種の実施を要請する考えを明らかにした。
ただ、CDCはこれまでのところ、4回目の接種を支持していない。ロシェル・ワレンスキー所長は、より多くの人に3回目の接種を受けてもらうことを優先すべきとの考えを明らかにしている。
一方、ファイザーのアルバート・ブーラCEOは、4回目の接種の有効性については十分な研究が行われておらず、「必要かどうか、まだ分からない」と発言。イスラエルの研究者を含め、一部の専門家たちも、2度目の追加接種を急ぐべきではないと警告している。
ファイザーが独ビオンテックと共同開発する新型コロナウイルスワクチンは、3月にもオミクロン株に対応するワクチンの準備が整う見通しだという。ブーラCEOは、現在使用されているワクチンを4回接種するよりも、新たなワクチンを待つ方が良い可能性もあると述べている。