NASAが採用のビッグデータ処理ツールLabelboxが評価額10億ドル突破

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機械学習において重要な役割を果たすのが、アルゴリズムにデータを学習させる際に、個別のデータにタグやラベルづけを行うアノテーションというプロセスだ。そのアノテーションに特化したツールを開発する「ラベルボックス(Labelbox)」が、ソフトバンクのビジョンファンド2が主導するシリーズDラウンドで1億1000万ドル(約126億円)を調達したことを1月6日、アナウンスした。

今回のラウンドには新規の投資家としてパランティアの社員が立ち上げたスノーポイント・ベンチャーズや、データブリックスの投資会社のDatabricks Venturesが参加したほか、既存出資元のアンドリーセンホロウィッツやBキャピタル、アークインベストのキャシー・ウッドも参加した。ラベルボックスの累計調達額は1億8900万ドルに達した。

ラベルボックスの共同創業者でCEOのマニュ・シャルマ(Manu Sharma)は、正確な評価額を開示していないが、今回の調達で同社がユニコーンとなり10億ドルの大台を突破したことを認めている。

ラベルボックスは、2018年にシャルマとブライアン・リーガーによって設立された企業で、2人は米国で多くのパイロットを輩出していることで知られるフロリダ州のエンブリー・リドル航空大学で出会った。彼らは、最初に宇宙用ハードウェアの会社を立ち上げようとしたが頓挫し、AI(人工知能)を使ってデータをより効率的に処理する取り組みを開始した。

ラベルボックスは、その名のとおり、機械学習プロセスのデータのラベリングを行う企業で、「トレーニングデータ」に注釈を付け、AIモデルが大量の生データから予測や洞察を行う方法を学習できるようにしている。

この分野のスタートアップとしては、評価額が73億ドルとされるScale AIや、昨年8月にユニコーンになったスタンフォード大学発のSnorkelなどが知られている。しかしシャルマは、過去18カ月の間に、ラベルボックスが企業顧客の間でこの分野のトップ企業に台頭したと主張している。

ラベルボックスがライバル視しているのは、アマゾンのクラウド機械学習プラットフォームのSageMakerや、大企業がインハウスで開発するソリューションだという。シャルマは、同社の収益を明かさないが200社の顧客を持ち、ネットリテンションレート(NRR、既存顧客の売上継続率)は150%を超えていると語った。
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編集=上田裕資

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