「共感を通したリーダーシップ」の秘訣は「感謝の習慣」

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職場の人気者になるには、何をすればいいだろう?

クッキーを焼いて配る? 確かに、たいていの人はクッキーが好きだし、「すべてのクッキーを受け入れる」は、最近の流りかもしれない。

しかし残念ながら、最近のハイブリッド型オフィスでは、「何かを与える人」になるのは難しい。冷蔵庫にクッキー生地を作り置いても、セルフブランディングにはあまり役に立たない。「気前のいい」そして「お菓子を焼く人」といった評判でいいなら、話は別だが。

しかも、この方法で得た人気を維持するのは簡単ではない。キーブラー(Keebler:米国の製菓企業で、エルフのロゴで知られる)のエルフ並みに、ストイックにクッキーを焼き続ける覚悟はあるだろうか?

職場で友人を得るには、もっといい方法がある。クッキーづくりほど時間もかからないし、もっと有意義で、しかもカロリーゼロだ。

それは、「感謝の気持ちを表明する」という方法だ。

メールを締めくくるとき、定番の「Best Regards」や「All the Best」(よろしくお願いいたします)はやめよう。そのかわりに、ベストセラー『リーダーが覚えるコーチングメソッド』(邦訳:パンローリング)の著者、マイケル・バンゲイ・スタニエにならって、こう書いてみよう。「You’re awesome and you’re doing great(あなたは本当に素晴らしい)」。小さなことだが、受け取り手も送り手も笑顔になれる、有意義な行為だ。

なぜ今、感謝がこれほど重要になっているのだろう? 仕事のニューノーマルのなかで、私たちは多少なりとも「拠りどころ」を失い、つながりを絶たれたように感じている。同僚たちとのあいだに築いてきた人間的なつながりは、13インチか、もっと小さなスクリーンという壁に隔てられ、希釈されてしまった。

コーチングとリーダーシップの神経科学専門家であるアン・ベッツ(Ann Betz)は、「我々は日々の仕事の一環として、お互いをインフォーマルに気遣いあってきたのだが、このことにあまり注意を払ってこなかった」と指摘する。

「人は、廊下ですれ違うようなシンプルなやりとりの中で、自然に他の人の様子に気づき、確かめ、感情面でのサポートを提供する。世界的パンデミックのなかで、多くの人々は、普段よりも孤立感を覚えている。職場に自然にあった社会的つながりを失ったからだ」

カーリー・サイモンは、ヒットソング「カミング・アラウンド・アゲイン」のなかで、こう歌っている。「傷付いた心にだって まだ余裕はあるから(there’s more room in a broken heart)」。この記事に関係があるのは、「傷ついた心」ではなくて「余裕」の方だ。

私たちは、人間性の不足に苦しんでいる。ワークヒューマンの調査によれば、パンデミックが始まって以来、労働者の42%が、週に1回以上の頻度で、孤独感や孤立感を覚えている。あなたの感謝の言葉は、それを受けた人の支えとなり、つながりへの渇望感を鎮めて、前に進む力を与えるだろう。

感謝の力を最大限に活用したければ、その人ならではの能力に注目しよう。
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翻訳=的場知之/ガリレオ

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