Glovoの企業価値は、約1年前の調達ラウンドを経て約23億ドル(約2650億円)に上昇したと報じられていた。今回の買収で、欧州で最大規模のフードデリバリー事業者である2社が統合された。
Glovoは、ヨーロッパのいくつかの市場に加えて、アジアやアフリカの一部でも事業を展開しており、デリバリーヒーローがそれほど強くない、あるいは全く存在感のない市場でも存在感を示している。
デリバリーヒーローのCEOのニクラス・エストベリ(Niklas Östberg)は、「Glovoは彼らの可能性を最大限に引き出してくれる、兄貴分のような存在が欲しいと感じていた」と述べている。
「異なる意見を持つ投資家たちを抱え、常に資金調達のプロセスを意識しなければならないことは、多くの気苦労を伴う。また、英国のデリバルー(Deliveroo)のIPOが成功とは呼べない状況になったことで、上場を目指すことが必ずしも最良の選択ではないことに気づいたのだと思う」とニクラスは続けた。
新しい年を迎え、欧州のフードデリバリーと急成長する宅配分野は大きな変化に直面している。
デリバリーヒーローは、ウーバーイーツや英国のデリバルー、オランダのジャストイート・テイクアウェイと並んで欧州市場で大きなシェアを占めているが、フィンランドのWoltは先日、米国のドアダッシュに81億ドルで買収され、米国の大手の欧州進出への道を開いた。
「この市場では、興味深いパワーバランスが働いており、当社はすでに進出済みの市場では優位なポジションにあるが、イギリスのようにウーバーやデリバル―、ジャストイートなどの競合がひしめく市場には進出していない」とエストベリは述べている。
クイックコマースはまだ成長過程
デリバリーヒーローは、ここ数年、様々な問題に直面してきた。2021年初めに同社は、母国のドイツでのサービスを再始動したが、11月に競合のジャストイートに市場を譲る形でサービスを終了した。
「当社は、少なくとも現時点では、我々がリードしている国にリソースを集中していきたいと考えている」とエストベリは語った。デリバリーヒーローはまた、「自分たちの力を分散させない」ことを重視しているという。
「ドイツで勝とうとすると、当社が得意とする新興市場への投資が犠牲になってしまう」と彼は続けた。
しかし、デリバリーヒーローは15分で食料品を配達するクイックコマースの企業のGorillasを支援するなど、外部企業への投資を止めてはいない。さらに同社は、自社のクイックコマース事業への投資も行っている。
エストベリは、デリバリーヒーローにとってこの事業が「非常に重要なテーマ」であるとしながらも、クイックコマースがまだ成長過程にあることを認めている。
「現実的に考えると、クイックコマースの規模がフードデリバリーの規模に近づくまでには、非常に長い時間がかかると思う」と、エストベリは語った。