経済・社会

2022.01.13 08:30

香港における「報道の自由」、その現状


2022年1月には、5年にわたって読者にニュースを配信してきた別の独立系ネットメディア「衆新聞(シチズン・ニュース)」が、2022年1月4日をもって運営を停止すると発表した。同社の声明は、次のように続けられている。「我々は、迫りつつある嵐の中心にあり、気づけば危険な状況に陥っていた。この危機に直面したいま、ともに働く者全員の安全と安寧を確保しなければならない」

数カ月のうちに、3つの民主派メディアが香港から姿を消した。にもかかわらず香港当局は、弾圧だとする訴えをはねつけ、メディアを標的にしていることを否定している。香港の林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は記者会見の場で、立場新聞に対してとった措置について次のようにコメントした。

「(立場新聞に対する措置は、)法執行のための措置だ。いわゆる報道の自由の抑圧や民主主義の抑圧とはなんの関係もない。(中略)ジャーナリズムは扇動ではない。だが、扇動的な行為・活動や、公的な行為・活動を通じた扇動は、ニュース報道を装えば大目に見られるというものではない。何がニュース報道であり、何が国家の安全を蝕む扇動的行為もしくは活動なのかを明白にするべきだ」

香港では、最近の攻撃の以前から、報道の自由が複数の方面から圧力を受けていた。2021年に起きた、民主派メディア各社の閉鎖前の時点で、香港は「報道の自由度ランキング」で世界80位だった。

2021年版の世界報道自由度ランキングでは、香港国家安全維持法が大きな脅威として名指しされていた。いまや、それがはっきり目に見えるようになっている。同法のもとでは、これまでに複数のジャーナリストを含む100人超の民主派支持者が逮捕された。それ以外にも、多くの人が亡命している。

報道の自由は民主主義の基礎だ。報道の自由に対する攻撃は、いかなるものであれ、その基礎を揺るがし、柱の崩壊を引き起こす。中国が香港に対する締めつけを続けるいま、香港はこれまで以上に報道の自由を必要としている。

翻訳=梅田智世/ガリレオ

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