バリケードを投票者登録ブースに。投票率を上げたシカゴ市の英断

City of Chicago - Boards of Change (case study)より


結果として、この企画は多くのメディアに取り上げられて話題となり、シカゴ市は過去最高の登録者数と投票者数を達成した。そればかりではなく、全米の投票行動にも大きな影響を与えたと考えられている。

さらにこのBOARDS OF CHANGEの実物は、大統領選挙後には有名な博物館に所蔵されることになった。

アイデアを実行に移す方法を探す


この企画を実現するためのポイントの1つは、投票所ではなく登録所を対象にしたことだろう。

投票所はさらにオフィシャルな場所で、こうしたアイデアを形にするのには、よりハードルが高いことが想像できる。しかし、登録所であれば、市の判断で、ある程度自由が効いたのではないだろうか。

いままでにないアイデアを実行に移すには、こうした「現状で可能な方法をとにかく探す」という姿勢も重要だ。

翻って日本を見ても、若年層の投票率の低下が危惧されている。積極的に投票を呼び掛ける自治体広報も行われているようだが、まだまだ役所っぽく「お堅く」て、あまり効果は挙がっていないように見受けられる。

このシカゴ市の行ったBOARDS OF CHANGEの例などを参考にして、ぜひ、アイデアがあり実効性が上がる企画に取り組んでもらいたいものだ。

さらに、このBOARDS OF CHANGEは、投票率アップをもたらしただけではなく、シカゴ市のブランド力を高めることにもなった。多様性と包括性と回復力があり、クリエイティブな街としてのイメージアップにも寄与したというのだから、シティプロモーションの観点からも自治体にとって、こうした企画は重要だろう。

もちろん企業の人たちにとっても、SDGsなど「お堅い」テーマに取り組む時には、こうしたマインドは大きなヒントになるにちがいない。

連載:先進事例に学ぶ広告コミュニケーションのいま
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文=佐藤達郎

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