ビジネス

2022.01.12

輝け!ライジングスター。創業3年目以内、注目の起業家

西和田浩平(左)、江口亮介(右)

159人の起業家が参加登録したRising Star 2021。ピッチ大会を勝ち抜いた期待の新星がこの2人だ。


西和田浩平|アスエネ


付加価値の高い再エネサービス 電力の「地産地消」を実現

日本政府が2050年までの脱炭素社会の実現を掲げるなど、カーボンニュートラルへの社会的な要請が高まっている。国内のCO2年間排出量は約11億トンあるが、このうち8割は企業活動によるもの。目標達成には企業の協力・努力が不可欠だ。そこで、西和田浩平が立ち上げたアスエネでは、企業向けにCO2排出量ゼロのクリーン電力の小売り事業を展開している。

特徴は、ブロックチェーン技術を活用した独自のトラッキングシステムによって、企業がどの地域の電力を使うか選べること。例えば、千葉県の会社が同じで千葉で発電された再エネを使えば、電力の地産地消ができ、脱炭素化への貢献はもちろん、地方創生にもつなげることができる。実際、兵庫県の二川工業製作所では、アスエネのシステムを利用して、自社が保有する水上太陽光発電所による再生エネを、別の自社工場やサプライヤーなどに供給し、サプライチェーン全体でのCO2削減を進めているという。

「いままでの電力は販売したらそれで終わりだった。当社は、新しい付加価値とカスタマーサクセスを重視している」と西和田は話す。「企業のGX(Green Transformation)を推進して、脱炭素・カーボンニュートラルの世界をつくりたい」。

江口亮介|TERASS


不動産業界の「痛み」をなくせ DXでみんなが働きやすい世界へ


中古住宅の売買市場が堅調に成長していることもあり、国内で不動産仲介業の重要性が高まっている。一方、不動産仲介業は支出の半分以上が、人件費や店舗費などの固定費で占められるため、従業員は厳しい営業ノルマを課されたり、長い労働時間が常態化したりするケースも少なくない。

そうした課題の解決に挑んでいるのが、江口亮介が立ち上げたTERASSだ。同社は、デジタル技術を駆使して、不動産エージェントがフリーランスとして活躍するためのプラットフォームを展開。負担のかかる集客や書類作成などをリモートで代行し、エージェントは顧客とのコミュニケーションに集中して効率的に働ける環境を提供している。

ビジネスモデルは、不動産エージェントの売り上げから25%を回収するレベニューシェア型を採用。エージェントの取り分は業界平均と比べて大きい。「会社に勤めるよりも、独立開業するよりも、我々と一緒に働いたほうが楽に、かつお客様に価値を提供できる状態がつくれている」と江口は自信を見せる。

実際、TERASSの単月取引高は21年7月時点で13億円を記録しており、月に30%ペースで伸びている。「いまだにオフィスのなかで灰皿が飛んでくるような労働環境にいる人もいる。デジタルの力でそれを変えたい」。


にしわだ・こうへい◎三井物産にて主に日本・欧州・中南米の再生エネの新規事業開発や投資、M&Aに従事。ブラジルの分散型電源企業Ecogen Brasilへの出向などを経て2019年10月、アスエネを創業。

えぐち・りょうすけ◎慶應義塾大学経済学部卒業後、リクルートに入社し、「SUUMO」の広告企画営業を担当。その後、マッキンゼー・アンド・カンパニーにてを経て2019年4月にTERASSを創業。

この記事は 「Forbes JAPAN No.086 2021年10月号(2021/8/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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