鍵はコンテンツ? 数々のヒット商品を出してきたソニーが、今度はEV界への参入を検討

SONY VISION-S 02


さて、CES会場で発表されたVISION-S 02はどんなクルマだったのか。フロントデザインは、ポルシェ・マカンとランボルギーニ・ウルスのスタイリングを足して2で割ったような印象に見えるけど、ソニーが初めてSUVを作ったとは思えないほどしっかりデザインされている。はっきり言って、あまりにもよく出来るので、いくらソニーが「EV事業化への参入を〈検討〉している」と言っても、市販は近いような気がする。

横から見たVISION S-02

最初のVISION-Sと共通のEV・クラウドプラットフォームを採用し、7人の乗員が乗れる広い室内をオファーすることによって、さまざまなライフスタイルのニーズに合う車両を提供しようとしている。とにかく搭載される先進技術は目が点になるほど凄い。EV界の兄役のテスラがすでに搭載している OTA (Over The Air) 、つまり 「WiFi」 によるアプリやセキュリティのアップデートのような最新技術は、VISION-S 02にも採用されているし、ToF(Time Of Flight=飛行時間)方式の距離画像センサーを使ったドライバー認証やモニタリング機能を採用。

また、高感度・高精細のイメージセンサーやLiDAR(レーザー画像検出と測距)などを周囲360度に張り巡らすによって、周りの環境を瞬時に認識できる。最近、多くのクルマが採用するようなジェスチャーコマンドや音声案内にも対応するほか、車両のディスプレーの種類や加減速音を個別に設定できる。もちろん、自動運転レベル3以上の機能も備えているので、国内外でテストしてきている。

室内空間の写真

後部座席の写真

20年のCESにデビューしたVISION-SのプラットフォームやEVパワートレーンを採用するVISION-S 02の室内外のデザインは、ソニー社内のデザイナーが担当したけど、同車の製造や公道テストはオーストリアのマグナ・シュタイア社が行ったという。

つい最近、トヨタが「2030年までに30台のEVを出す」と発表したように、動きの速い事業だけにソニーがEV販売に進むか否かは時間の問題だと思う。ただ、どういう形でソニーのEVが生まれるのかはまだ不明だ。「ソニーはEV界に参入しているアップルと一緒に作るかもしれない」というアナリストもいれば、実際にEVを作って売るとなると、「ソニーが作って、アップルが売るというパターンになる可能性もある」と別のアナリストもいる。でも、ソニーとしては、オーストリアではなく、日本で作りたがっているようなので、「ホンダとタイアップすれば、狭山工場ででも作れるじゃないか」とのコメントもある。今後期待したい。

国際モータージャーナリスト、ピーターライオンの連載
「ライオンのひと吠え」過去記事はこちら

文=ピーターライオン

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事