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2022.02.10 16:00

世界のスタートアップとの協業で生み出す、MUFGの独自のオープンイノベーション循環サイクル

「いまの延長線上に未来はない」——MUFGがオープンイノベーションにこだわるのは、変化しないことへの危機感からだった。米スタートアップとの協業でペーパーレス化を推進するなど、MUFG内に変化の波を引き起こしているキーマンに話を聞いた。


「MUFGのCEOの亀澤宏規、CDTOの大澤正和は、いまの延長線上に未来はない、我々は変わらなければならない、と日々強調しています。ただ、内から変わることは非常に難しい。自前主義を脱却し、外部から新しいアイデアやサービスを取り入れることで、MUFGに変化を起こしたいと考えています」

デジタルサービス企画部DX室新事業グループの山本浩太は、MUFGがオープンイノベーションを志向する理由をそう説明する。トップも変化のきっかけを外に求めているのだ。

外部の力を取り込むべく、MUFGは早くからオープンイノベーションに関する施策を打ってきた。2014年に米シリコンバレーにGlobal Innovation Team(GIT)を設置し、新技術や新たなビジネスモデルの動向調査を開始。15年には、邦銀初となるアクセラレータプログラムMUFG Digital Acceleratorをスタートさせた。同プログラムは、スタートアップからMUFGとの協業アイデアを募集し、プログラム期間中にMUFGとブラッシュアップを行うことで、スタートアップの事業支援とともにMUFGの新規ビジネス開発を実現させる取り組みだ。

これまでに計5回開催され、延べ500社超のエントリー、採択社数は31社に上る。直近の第5期プログラムには、過去最多となる応募が寄せられた。

応募企業の事業領域は必ずしも金融やフィンテックに関係しているわけではない。

「我々は、この取り組みを通じて新たな気づきを求めています。面白い事例だと、IoT技術を活用した光る靴。歩行データを取得し、それを金融サービスに生かそうというチャレンジも過去にありました」と山本は、金融以外の分野とのコラボレーションを歓迎する。

第3期採択のクレジットエンジン社とは、オンライン融資サービスを19年リリース。第4期で採択した貸付型のクラウドファンディングのFunds社、ポイント投資サービスのSTOCKPOINT社とは、銀行の個人向けスマホ資産運用サービス(Money Canvas)でのサービス連携を21年度に計画と、成果も出始めている。

当然、うまくいくものばかりではないが、「MUFGとのプログラムに通過したという事実も含めて、企業としての信頼度を高め、本業を加速させることができた」というスタートアップは多い。金融領域でのアクセラレータとしては確固たる地位を築いており、参加スタートアップ、ベンチャーキャピタルなどの運営関係者からの評価も高い。

オープンイノベーションの循環サイクル


スタートアップが事業を拡大するうえでボトルネックとなるのは、資金調達だ。MUFGは、16年からスタートアップへの戦略出資を開始した。いまや世界最大規模の暗号資産取引所である米Coinbase社にも、16年という早い段階で出資している。

さらに19年には、三菱UFJイノベーション・パートナーズ(MUIP)をコーポレートベンチャーキャピタルとして子会社を設立し、スタートアップへの投資をさらに加速させた。オープンイノベーション関連出資は16年からの5年間で、40社超に1,200億円以上を出資した実績がある。

MUFGのオープンイノベーションは、これら施策・機能を活用して、種まき、事業部連携、検証、事業化、情報発信のサイクルが循環することで推進されている。

まず、プロジェクト立ち上げに向けた「種まき」として、GITやMUIP、外部のベンチャーキャピタルなどと連携し、有望なスタートアップを発掘。そのスタートアップの技術をMUFGの既存事業に活用できないかを検討し、「事業部連携」。そして、提案が受け入れられたら「検証(PoC)」を行い、期待通りの効果が見込めればMUIPを通じて「出資」し、「事業化」する。

その事例をMUFGウェブサイト内に開設した「INNOVATION HUB」などを通じて社内外に発信することで、新たなスタートアップの情報が集まってくる。これがMUFGのデザインするオープンイノベーションサイクルだ。

19年12月には、これら取り組みを象徴する存在として、インキュベーション拠点「MUFG SPARK」が開設された。スタートアップやパートナー企業、投資家、教育機関、アクセラレータ、MUFG各社をつなぐイノベーションエコシステムのハブだ。山本はその存在意義を説明する。

「協業はそれぞれの想いが重なり、熱量高く取り組むことも重要です。金融機関は、社会的意義に照らし慎重に判断せざるを得ない面もあります。困難な場面を突破して協業を進めるには、単なる利害関係やビジネスの関係だけではうまくいきません。なんとか実現したいという想いやミッションをもっている人と関係性を築いていくには、リアルで会える場所が必要なのです」

残念ながらコロナ禍により、人を集めることのできない時期が続いたが、その間もMUFG SPARKでは、オンラインイベントを開催してきた。

MUFGが描くイノベーションサイクル

種まき、事業部連携、検証、事業化、情報発信の順番でサイクルは循環する。種まきでは、MUFG内外のネットワークを活用しスタートアップを発掘。そのスタートアップを行内で活用するために事業部と連携する。検証を経て、三菱UFJイノベーション・パートナーズ(MUIP)による出資を検討。出資を決定したら事業化し、オウンドメディアで情報を内外に発信。また新たな種まきへとつなげていく。

AIロボットがホッチキスの針を除去


MUFGのエコシステムによって、これまでにさまざまなオープンイノベーションが創出されたが、最もインパクトが大きい事例のひとつは、アメリカのスタートアップRipcord社との協業だ。これによって、社内のペーパーレス化が大きく前進した。

15年設立のRipcord社は、作業のかなりの割合を自動化して文書をスキャン・電子化し、データベース化するAIロボットを提供している。秀逸なのは、さまざまな保管状態の書類にも対応できる点だ。印鑑票はホッチキスで留められているものが多くあり、針を外さなければスキャンできない。Ripcord社のAIロボットは、そのホッチキスの針を自動で外してからスキャンするのだ。

8Kカメラでスキャンした画像からテキストが抽出され、それがインデックス化されるので、あとで容易に検索することができる。紙送りはベルトコンベアに空気圧で吸い付けて行うため紙詰まりも生じない。

デジタルサービス企画部DX室新事業グループの佐藤宏俊は、ハードウエアとソフトウエアのどちらも高い技術力を有しているのが協業の決め手となったと言う。

「ハードウエアのロボット自体も技術力が高いですが、それを制御するソフトウエアも優れています。例えば書類に影のような黒い線があっても、それがホッチキスではないことを見分けることができます。薄い紙に太いホッチキスの針が留まっていても、柔軟性の高いハードウエアをソフトウエアが適切に制御し、紙を破かずに針を外すことができます」

いくら高い技術力を有する製品でも、巨大組織がこれまでのやり方を変えることは容易ではなく、導入するには越えなければならないハードルがある。協業に至ることができたのは、「プロジェクトが立ち上がった段階で業務を所管する事務企画部がメンバーに入ったのが大きい」と佐藤は言う。

ペーパーレス化プロジェクト概要

MUFGの施設内にアメリカからRipcord社製AIロボットを搬入・設置。印鑑票を倉庫から輸送し電子化する。その電子化データを営業店・事務センターなどより閲覧・照会できるプラットフォームを構築した。

重要な「実現したいことへの共感」


銀行取引では、顧客から預かる申込書や契約書の大半が紙ベースで、これらには多大な事務作業の負荷と管理コストがかかっている。特に機密情報のひとつである印鑑票は、セキュリティの厳しい専用ビルに保管されており、3億ページという膨大な量があることから多大な維持コストが発生している。

そのうえ、取引内容によっては印鑑票の原本確認が必要になり、取り寄せのために店頭で待たせしてしまうなど顧客に不便をかけていた。銀行の事務全般の企画・運用を取り仕切る事務企画部には、これら大量の印鑑票を電子化したいという思いがあった。

デジタルサービス企画部では、18年末にGITを通してからRipcord社の存在を認識した際に、事務企画部が抱える課題が真っ先に頭に浮かび、すぐに同部への提案を行った。提案においては、単に資料やビデオでの説明だけでなく、事務企画部の担当者をアメリカに招待し、実際に製品を見てもらった。

担当者がサンプルの印鑑票を持参し、AIロボットにセットすると、思いもよらぬことが起こる。ホッチキスの針がうまく外れなかったのだ。「こんなはずはない」とデモを担当した共同創業者であるケビン・ホールCTOの顔は青ざめたが、そこからの対応力が素晴らしかったという。すぐにハードウェアの調整を始め、数時間後には針を外すことができたのだ。「その対応が、事務企画部の担当者の心に刺さりました。技術力もそうですが、お客さまの課題を解決するためにすべてを尽くす姿勢が見られたからです」

山本も、Ripcord社のような姿勢がお互いに大切だと同調する。

「サービスや技術が優れているのはもちろんですが、それだけではなくて、お互いが求めているものを尊重し、要望に応えてくれる関係性を築いていくことが大切です。協業の成功は、実現したいことを共感できるかどうかにかかっています」

それからRipcord社と事務企画部、デジタルサービス企画部の間で協業に向けた交渉が始まった。Ripcord社はそれまで、アメリカ国内だけで事業を展開してき たが、佐藤たちは、日本には膨大の量の書類が眠っているという市場としての魅力を話し、日本での展開を説得した。

交渉は、間に別会社を挟まず直接行ったが、それによって互いに納得のいく形で合意することができたと佐藤は言う。

「日本の企業が海外の技術を活用する際、多くの場合、システムインテグレータを介して利用するため、技術を提供するベンダーと直接やりとりすることはありません。我々はRipcord社と直接交渉してきたので、かなり密に要望を伝えることができました」

そして20年7月、両社はRipcord社のAIロボットをMUFGの日本の拠点に導入することで合意した。MUFGのニーズに合わせた「MUFGモデル」を実現することになったのだった。

「想い・ビジョンを共有しながら、互いを尊重し、ギャップを埋める作業が必要です。製品やサービスがよくても、それがなければ前に進みません」と語る山本

「想い・ビジョンを共有しながら、互いを尊重し、ギャップを埋める作業が必要です。製品やサービスがよくても、それがなければ前に進みません」と語る山本

チーム力で困難を乗り越える


このまま順調にいくかと思われたが、導入はスムーズに進まなかった。スタートアップとメガバンクでは、スピード感がまったく違ったのだ。加えてコロナ禍も影響を与えた。日本とアメリカでは湿度や温度も違えば電圧や耐震の基準も違い、機械の調整が必要だが、人の往来がしにくくなったことでそれは難航した。それでもなんとか稼働できたのは、チームによる力が大きかったと佐藤は振り返る。

「片手で数えられる人数で始まったプロジェクトですが、いまでは関係者は100人を超え、いろいろなバックグラウンドをもった人が携わっています。ロボットやサーバー関連のエンジニアがいますし、別の金融機関で新規事業をやっていた人もいます。私ももともと法律のバックグラウンドがありますし、大手インターネット企業で勤務していた経験もあります。スタートアップと協業するには、技術への理解はもちろん、ビジネス面を考える人も必要ですし、契約交渉をする人も必要。それらのバランスがよくとれたチームだったのがよかったです。Ripcord社のスピード感や技術力とMUFGのプロトコルのバランスを取り、社内で理解してもらうことができました」

山本もスピード感について課題を感じつつ、互いの理解が大切だと強調する。

「組織が大きいだけに、我々のスピード感は、どんなに頑張っても限界があります。スタートアップにそれを理解してもらわないとなかなかうまくいかないですし、だからと言って、我々がそれに甘えていままで通りでいいかといえば、そうではありません。

大企業に勤めていると当たり前の決裁プロセスも、スタートアップ、特に海外の方からすると理解できません。そのプロセスがどうしても必要なのだということを丁寧に説明し、お互いのギャップを埋める作業が必要です。なるべく寄り添い、お互いが納得できる形で進めていくことが重要ですし、製品やサービスがよくても、そこが合わなければ話は前に進みません」

技術面での課題もあった。電子化するにあたっては、スキャン画像の画質を極限まで高める必要があった。

「お客さまからいただいた印鑑の印影のイメージと、電子化した印鑑票のイメージが合っているかを照合する場合があります。0コンマ数ミリ違うだけで上手く照合できないので、高い精度が求められます。それを実現するのは大変でしたが、Ripcord社が尽力してくれましたし、社内のシステム本部も、どうすれば的確に照合できるかを検討してくれました。銀行の内外を巻き込んでチームをつくり、がっちり取り組めたことがブレークスルーの要因だと思います」

Ripcord社としても、これまでに経験のない取り組みだった。アメリカでは、そこまで高い精度を求められることがないからだ。「銀行の要件に合わせる姿勢と技術があることも協業が実現した大きな理由のひとつ」と佐藤は振り返る。

試行錯誤を繰り返し、21年上期に電子化を開始した。機械の調整などの対応が難しいという課題はあるものの、これまでにすでに倉庫にある印鑑票の半分の運び出しは完了し、電子化のスピードも向上してきている。

印鑑票の電子化が完了したら、別の書類も電子化していく予定だ。そしてその先に見据えるのは、事業としての展開だ。

「いまは銀行内の書類のみを電子化していますが、それを当行のお客さまにもご提供できないかと考えています。せっかく蓄積したノウハウがあります。金融機関レベルの高いセキュリティと、電子化作業を含む高い精度の事務遂行力は、ひとつのサービスになる可能性が十分あるはずです」

事業化への布石は打っている。21年5月、MUFGはMUIP1号投資事業組合を通じてRipcord社への出資を行った。

「金融機関レベルの高いセキュリティと高品質の事務遂行力は、ひとつのサービスになるはずです」と佐藤は言う

「金融機関レベルの高いセキュリティと高品質の事務遂行力は、ひとつのサービスになるはずです」と佐藤は言う

「社会の基盤」事業をつくる


印鑑票の電子化をスムーズに実行に移せた背景には、社内でDXの機運が醸成されてきた影響が大きい。山本が社内に起きている変化を打ち明ける。

「私も含めて、“DXは特別な一部社員が担うもの”という見方を当初していました。コロナ禍などの外部環境の変化に加え、経営が中期経営計画で示すように、会社全体としてデジタルにしっかり取り組むという機運がより高まっています。以前は、スタートアップを社内で紹介しようにも、話を聞いてもらいづらい状況でしたが、いまでは、事業部からも相談が来るようになっています」

そうした事業部からアイデア・要望が積極的に上がり、それに的確に応えられるようにするのが山本の願いだ。

「これからもMUFGのDX推進、ビジネス開発に貢献するため、優れたアイデア、スタートアップを発掘していきたいです」

佐藤は、銀行が培ってきた強みを金融以外の分野にも生かしていくべきだと提言する。

「社会の基盤となるビジネスは、金融だけに限りません。Ripcord社のような最新テクノロジーと高品質な事務や安心安全のブランドイメージ・セキュリティは新たな事業創出の際にも強みとなり、MUFGが非金融の領域においても『世界が進むチカラになる。』ビジネスを提供していく土台となると、我々のチームは信じています」


山本 浩太◎三菱UFJ銀行 デジタルサービス企画部DX室 新事業グループ 2011年入行
6年半の法人営業を経て、部門企画にて大企業法人営業を担当し現職。MUFG各社をつなぐイノベーションハブ、MUFGのオープンイノベーションシステムの構築・運営を担当し、その要となる「MUFG SPARK」の設立に携わった。MUFGに変革をもたらすことをミッションに掲げる。

佐藤 宏俊◎三菱UFJ銀行 デジタルサービス企画部DX室 新事業グループ 2018年入行
大学卒業後、司法試験に合格したのち、弁護士の道には進まず大手インターネット企業に就職。2018年、キャリア採用で入行し現職。他業種で培った知見とスピード感を生かし、MUFGのDXを加速させている。Ripcord社との協業に尽力し、MUFGの正確な事務処理に速度を補完した。


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Promoted by MUFG / text by Fumihiko Ohashi / photographs by Takao Ohta / edit by Yasumasa Akashi