伝統と革新をもつ老舗の次なる一手

「ピーカブー アイシーユー」というモデルのニューカラー。サイズはミディアムとミニの2種類。素材は同ブランドが誇る最高級のカーフレザーの「クオイオ ローマ」を採用。

Forbes JAPAN本誌で連載中の『紳士淑女の嗜み』。ファッションディレクターの森岡弘とベテラン編集者の小暮昌弘が「紳士淑女が持つべきアイテム」を語る。今回は1月号(11月25日発売)より、「フェンディ」のバッグをピックアップ。


森岡 弘(以下、森岡):このバッグはイタリア、いや世界を代表するラグジュアリーブランド「フェンディ」のバッグです。同ブランドのアイコンバッグとして人気の「ピーカブー(Peekaboo)」の新作です。

小暮昌弘(以下、小暮):「フェンディ」は最近、同じイタリアの人気ブランド「ヴェルサーチェ」とコラボレーションした作品を発表し、大きな話題となりました。伝統と革新をもつブランドとしても知られていますが、「ピーカブー」のような確固たるデザインのアイコンバッグをもっているからこそ、「ヴェルサーチェ」とコラボするような、刺激的な取り組みもできるのでしょうね。

森岡:「ピーカブー」は女性から圧倒的な支持を得ているモデルですが、2021年春夏から、メンズ版も登場して多くの男性にも認知されるようになりました。私の友人にもすぐに購入した人がいます。

小暮:アイコンバッグだけあって、持っているとすぐにわかる個性があります。

森岡:ビジネスシーンでも、もはやバックパックをもつことが許されるようになりましたからね。茶のスーツがビジネスで許されるようになったということと同じで、こういうユーモアが効いたブリーフケースを仕事で使ってもいいのではないでしょうか。使い方によっては着る人をセンスよく引き立ててくれると思います。

小暮:株式相場ではトレンドに合わせた取引をすることを「順張り」、逆にトレンドとは反対の取引をすることを「逆張り」とよく言いますが、それは「逆張り」ですね。バックパックがはやりの時代だからこそ、このモデルを選ぶことに意味が出てくる。

森岡:バッグで、着こなしが台無しという人もまあまあいらっしゃいますからね。スーツは“普通”でしたら、バッグはこのくらいキャラクターのあるものをもってもいいのでは。バッグはスタイルの一部ですから。まぁ、このバッグは、気軽にもてるような値段ではありませんが(笑)。

小暮:「ピーカブー」は女性にはカラフルなモデルが人気ですが、今回紹介するのは2つのモデルのうち、「ミディアム」モデルで、グレーとブラックの2色使いが新しい。

森岡:そうなんですよ。表と裏で色が違うんです。これは面白いですよね。

小暮:ハンドル=持ち手まで2トーンにしてあって、仕上げがとにかく美しい。これは卓越した職人技なくして実現できない縫製だと思います。金具とバックルが本体の革と同色になっていてシックです。こういう細かい部分への気の使い方はさすがですね。
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photograph by Masahiro Okamura | text by Masahiro Kogure fashion direction by Hiroshi Morioka | illustration by Bernd Schifferdecker edit by Akio Takashiro

この記事は 「Forbes JAPAN No.089 2022年1月号(2021/11/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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