「幻覚ドラッグで神に会う」、最も過激なメンタルヘルス治療

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うつ病の処方薬の売上は世界で年間500億ドル(約5.8兆円)で、メンタルヘルス市場の規模は年間約1000億ドルと言われている。バイオテック分野のアナリストは、サイケデリック支援療法をFDAが承認すれば、数十億ドルの年間売上が創出されると試算している。

サイケデリック研究のパイオニアで、1986年に幻覚剤研究学際協会 (MAPS) を設立したリック・ドブリンは、MDMAを用いたPTSDの治療法を、今後数年以内にFDAに承認させようとしている。

しかし、ドブリンは、少なくともPTSD患者については、神秘的な体験と治療効果に相関関係はないとしている。彼によると、神秘的な体験はうつ病の人には効果があるかもしれないが、この種の体験を評価しすぎることには注意が必要だという。

「神秘的な体験をしなくても良くなる人もいれば、神秘的な体験をしても良くならない人もいる」と彼は話す。

ドブリンは、ドラッグそのものが治療法ではなく、ドラッグが治療効果を高めることを認識することが重要だと述べている。神秘的な体験をすることに過度に依存すると、そもそもセラピーを受けるきっかけとなった問題への対処や解決を避けてしまうことになる。

「意識は虹のスペクトルのようなもので、いろんな色があって、そのすべてが必要なのだ。バイオグラフィーのみに焦点を当てて、精神性を無視してしまうと、不完全なものになってしまうが、その逆に、精神的なものだけに焦点を当てても同様に不完全になってしまう」とドブリンは述べている。

編集=上田裕資

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