4隻ともに、外観も内観もそれぞれが異なり、外観はいずれも驚くほどにアーティスティックで個性的、だが、客室内はいずれも高級感が漂い、むしろヴィヴィッドな外観とは異なり、静かに寛げるラグジュアリー感が漂っている。とはいえフローティングホテルの小舟であり、波の少ない運河とはいえ、ヨットやクルーザー、水上タクシー、小型観光船などが行き交えば、当然、ホテルも多少は波に揺れる。
これが快適と言う人もいれば、クルージングのような情緒を感じ歓ぶ人もいる。客室内のアメニティは、水上の環境も考慮し、自然由来の素材や再生可能な資源を用いる配慮がされている。
PETAL 1、外観とはまるで印象の違う落ち着きのある室内、大きな窓からはキャナルビューも楽しめる。
PETAL 1、43平方メートルの広さのある客室はシャワールームも広く特徴的。ゴージャスなホテルの1室のような高級感が漂う。
「この倉庫街はアートを主体に、水辺とアートの街として生まれ変わっています」とは、ホテルの関係者の言葉だ。確かに、大きな倉庫の並ぶ壁にはアーティストが描いたイラストがここそこにあり、倉庫ではない建物自体も、それぞれに自由な感覚でデザインされている。
また、ホテルの建物に挟まれるように、隈研吾氏がデザインを監修したイベントスペース、海に浮かぶ「T-LOTUS M」が隣接し運河に並んでいるため、イベントも宿泊も同時に可能な施設となっている。その他、天王洲の象徴的なメインストリートである‘ボンドストリート’には「E HALL」が建ち、クラシカルな倉庫のイメージを外観に残しながらも内部はスタイリッシュなレンタルスペースに仕上がっている。
ホテルのHPには、「倉庫街からアートシティへと変貌を遂げた、東京・天王洲に水上ホテル「PETALS TOKYO」が誕生」とある。確かに周辺の倉庫も、施設も、運営管理は寺田倉庫株式会社である。寺田倉庫は、世界中の芸術作品や高級ワインを預かるプレミアム倉庫のスタイルをとり、アートギャラリー・カフェやレンタルホール、ミュージアムの他、多くのサービス事業を展開し、ついにホテルまで運営する未来志向の企業となっている。
さて、ホテル滞在についてもう少し紐解こう。4隻の小舟から成るフローティングホテルにはレストラン、カフェ、プールなど付帯施設は無い。レセプションは至近距離に建つ陸地の建物内にあり、そこでチェックインもアウトも済ませる。また食事については、陸に上がれば、お洒落で素敵なカフェやベーカリーカフェ、ダイニングレストランが並び、何ひとつ困ることは無いのだ。
ホテルが係留されている運河沿いの一画にはボードウォークがあり、朝夕、気持ちのいい散策ができる。
ディナーは近隣のレストランで。写真のように朝食はオーダーが可能。運河を見ながらの朝食は東京にいるとは思えない旅情あふれるロケーション。
むしろ、一人になりたい時、二人でゆったりと過ごしたい時、仕事に集中したい時など、いずれももってこいの大人の空間である。さらに、旅に出たいが今は遠くへは行けないという都会人にもお薦めだ。ここにいると異国情緒さえ感じ、嬉しいほど非日常の空間感に包まれてしまう。
PETALS TOKYOの夜景。天王洲から新たなライフスタイルや文化発信をと造られた唯一無二の空間。
PETALS TOKYO
東京都品川区東品川2-1先
050-5491-2681
https://www.terrada.co.jp/ja/service/space/petals-tokyo/