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2022.01.07 06:00

フィリピンの財閥「サンミゲル」が再生可能エネルギーに本腰

ラモン・アング(Clint Spaulding/Getty Images for Bloomberg)

アジアを代表するビールブランドとして知られる「サンミゲル(San Miguel)」を保有するフィリピンの財閥のサンミゲル社は今年、太陽電池を利用した蓄電設備を国内で導入する。

同社は昨年4月、傘下のSMCグローバル・パワー・ホールディングス社が10億ドルを投じて、フィリピン全土に容量1000メガワットのバッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)を31基新設すると発表した。これらの施設のうち、690メガワットの発電能力は2022年初頭に稼働し、残りは年末までに稼働する予定であると、サンミゲルは1月5日に規制当局に提出した書類の中で述べている。

「当社のBESS施設は、SMCグローバルの再生可能エネルギーポートフォリオを強化することを目的としており、太陽光発電所、液化天然ガス発電所、水力発電所を建設し、信頼性が高く安価な電力に対する国の継続的なニーズに対応する」と、同社は述べている。

フィリピンの発電設備容量の約5分の1を占めるサンミゲルは、フィリピンの二酸化炭素排出量の削減に貢献するため、再生可能エネルギープロジェクトへの投資を拡大している。東南アジアのフィリピンは、化石燃料への依存度が高く、2020年の総発電量の半分以上が石炭火力発電所によるものだった。

2012年に故エドワルド・コジュアンコ・ジュニアからサンミゲル社の株式の大半を取得したビリオネアで実業家のラモン・アング(Ramon Ang)は、醸造・食品メーカーであったサンミゲルを、不動産、石油精製、発電、インフラなどを手掛けるフィリピンで最も多角的なコングロマリットの一社に育て上げた。

アングの最も野心的なプロジェクトは、首都マニラの北約40kmに位置するブラカン州の2500万平方メートルの敷地に、145億ドル(約1兆6800億円)をかけて巨大な国際空港を建設することだ。この空港が完成すれば、現在の主要空港のニノイ・アキノ国際空港の約3倍の年間1億人の旅客に対応することが可能になる。

アングは昨年9月に発表された「フィリピンの富豪50人」ランキングで、保有資産23億ドルで9位に入っていた。

編集=上田裕資

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