キャリア・教育

2022.01.13 18:00

服の翻訳者。「洋品店」店主が辿り着いた安息の場所


モノトーンを基調としたその店は、横浜市営地下鉄ブルーラインの仲町台駅から徒歩圏内にある。港北ニュータウン(都筑区)の一画に位置しているが、実にのどかで自然豊かな街にある。

駅前を中心にスーパーや飲食店が充実している一方、少し歩けば澄んだ小川や広々とした公園もある。都会のような息苦しさもなく、かといって不便でもなく、何不自由なく暮らしていけそうな印象を受ける。

横浜の中心部に勤めるような人が居を構えるのに最適なベッドタウンといっていいのだろう。歩いていると、そこかしこから子どもたちの元気な声も聞こえてくる。

しかし、失礼ながら繁華街とはいえないこのような場所に、なぜ彼はセレクトショップをつくったのだろうか?

「そもそものはじまりはこの街が好きで、洋服屋もあったらいいかなという思いからでした。それに昔から横浜自体、街の規模のわりには洋服屋が少ないなと思っていて」

井本はこうあっけらかんと語る。実にシンプルな理由だ。しかし、彼がこれまで辿ってきた道のりを聞けば、それほどシンプルな話でもなさそうだ。

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文・写真=長井究衡

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