ホノルルマラソンが開催された直後に急増していることから、このイベントとの関連性が気になるところだが、ハワイ州政府では今回の感染者増は11月25日の感謝祭の週末に多くの人々が集まって過ごしたことが原因と述べている。
懸念されるオミクロン株の影響について、12月22日に州政府は、オミクロン株が確認されたのは74件と発表。しかし、同時期に米CDC(疾病対策センター)が、米国のオミクロン株は新規感染者の7割以上を占めていると伝えており、ハワイ州政府もその感染率の高さから、数週間程度でデルタ株からオミクロン株に置き換わるとみている。
ここまで感染者が増えると、懸念されるのが医療機関の状況だ。1月2日時点で、ハワイの新型コロナの入院患者は175人。デルタ株により感染者が急増した際は、入院患者の最大数448人で、医療機関が逼迫する事態に追い込まれた。今後は入院患者が300人台まで増加する見込みがあるが、対応できる範囲だという。
医師でもあるハワイ州副知事は、「デルタ株が蔓延して入院患者が過去最高の448人となったときの感染者(アクティブケース)は1万1500人。これに対して、オミクロン株が主流になりつつある1月2日時点の感染者(アクティブケース)は2万5236人だが、入院患者は175人にとどまっている」と説明。オミクロン株はデルタ株より感染力が強いが、重症化する患者の割合が低いと伝えている。
追加規制は行わず
デルタ株で感染者が急増した際は、州知事がハワイへの旅行を控えるよう人々に呼びかけた。だが今回、ブランジャルディ・ホノルル市長は、新たな規制を行う予定はないと表明。11月の感謝祭からクリスマス、年末年始はホリデーシーズンとなり、多くのビジネスにとって書き入れ時となる。実際、12月のクリスマス前の週末には、感謝祭の週末以上に多い1日3万人以上の観光客が主にアメリカ本土からやってきた。
止まらない感染者増加に対して規制しないことを懸念する専門家も一部いるが、オミクロン株では重症化しにくいと明らかになったから、ホノルル市ではこのまま経済活動を優先していく方針のようだ。
厳しい状況が続くなか、希望の光となっているのが、ファイザーとメルクの新型コロナ治療の飲み薬がFDA(米食品医薬品局)に承認されたことだ。これらの飲み薬で、今後は自宅での療養がよりしやすくなると期待されている。
経済活動をまわすためには、厳しい規制はできるだけ緩和したい。だが、重症化する人が増え医療が逼迫しては意味がない。そのせめぎ合いが今後もしばらく続いていきそうだ。