経済・社会

2022.01.05 17:00

米離職者、11月は過去最多の450万人

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米労働省が4日に発表した2021年11月の雇用動態調査(JOLTS)によると、自発的な離職者数は約450万人と過去最多を記録した。一方、求人件数は約1060万件と52万9000件減り、予想を上回る減少幅となった。新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が続くなか、企業が人材の確保に苦慮していることがあらためて浮き彫りになった。

離職率は9月と同水準の3%に上がった。離職者数がとくに多かった部門は宿泊・飲食サービス(15万9000人増)、医療・社会福祉(5万2000人増)、運輸・倉庫・公共事業(3万3000人増)など。離職者数はこれまでは9月の440万人が最多だった。

求人件数は減ったものの引き続き高い水準にある。10月の求人件数は7月に記録した過去最多の1110万人に近い数字だった。労働需要も離職率も高いにもかかわらず、11月の採用数は670万人と前月からほぼ変わっていない。解雇数は140万人でやはり横ばいだった。

米国では昨年秋、新型コロナウイルスの感染者数の減少などを背景に労働市場にも明るい兆しが見えていた。しかし11月には感染者数が再び増加するなか、非農業部門の雇用者数がエコノミスト予想の半分足らずの伸びにとどまっていた。

これについて市場では「オミクロン株をめぐる懸念に拍車をかけるものであり、経済成長の鈍化とインフレの上振れが並行して進むスタグフレーションのおそれも強めかねない」(投資銀行ゼガ・ファイナンシャルのジェイ・ペストリチェリ最高経営責任者)と警戒する声が上がっている。

ゴールドマン・サックスはこれまでに、米国の2022年末時点の労働参加率見通しを45年ぶりの低さとなる62.1%に引き下げている。ゴールドマンによると、パンデミックが始まって以降、米労働市場から退出した500万人の大半は55歳以上で、今後再び仕事に戻る可能性は低いという。

編集=江戸伸禎

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