メダリストが専属コーチに。トータルフィットネスアプリ「SPORY」の画期的な仕組み

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一流のノウハウをパーソナライズ。これまでにない高品質なトレーニングを自宅で




「そんな一流選手が普段行っているトレーニングなんて、自分にはとても無理!」と怖れる必要はない。アプリ内で提示されている動画には、たとえば「二の腕のプルプルを撃退」「足の運動で腰痛予防」「大きい筋肉を使用してカロリー大量消費」など、短いもので3分、長くても8分程度と、じゃあちょっと挑戦してみようかと思わせる親しみやすさがある。

しかも、動画はチャプター機能で細分化され、ひとつひとつの動きに関して、心肺機能、肩、胸、腹筋など9つの項目に関してどのぐらいの効果があるのかを数値化して紹介されている。ユーザーが、自分が気になるところに、その動きがどれぐらいの効果を及ぼすのかが明確に分かるようになっている。

「データ分析はかなり細かくやっているので、たとえば高齢の方にはこんなメニュー・組み合わせを、モデル体型になりたい方にはこのようなトレーニングでなどと、動画が増えれば増えるほど、よりパーソナルなトレーニングの提案ができるのが強みだと思っています」

SPORYは2021年12月現在、無料公開中だが、近々月額の利用料が課金される。一方でネットにはトレーニング動画が無数に存在し、無料で閲覧できるものも多い。こうした動画は、無料だから気軽に利用できる反面、目的の動画を探す手間や、同じものをやっていると飽きてしまうなどといったデメリットもある。

「公開するための動画を撮っていると、アスリートでも筋肉痛になるレベルのトレーニングもあるので、そういう意味ではより高品質なコンテンツと言えるでしょう。その中から、今後はひとりひとりの体力や生活に合わせてさまざまな組み合わせを自動的に提案したり、オプションで食事管理やリアルタイムでレッスンが受けられるLiveストリーミング機能もサービスに入れていく予定です。利用することで、自宅トレーニングのクオリティは確実に上げられるのではないでしょうか」



アスリートの価値の拡大がもたらす大きな効果


サービスのコンセプトは3つ。

1. アスリートと共に世界中の人々の心と体の健康寿命を延ばす
2. アスリートの競技ノウハウを世界中の人々が学べる仕組みを作る
3. アスリートインフルエンサーに寄与し価値を最大化する

第一に、体だけではなく「心」の健康にも言及されているのは、コロナ禍を持ち出すまでもなく、閉塞的な社会状況で心の健康を崩す人が増えていることがある。心だけ、体だけではなく、両方が健康ではじめて人は幸せな日々を送れる。サービスを通して、ユーザーの幸せを求めていきたいという丸山氏の願いが反映されている。

また、現在は日本語でのサービスになっているが、今後は字幕をつける予定もあるそうなので、海外のファンが検索などで見つけて視聴することもできるようになるだろう。

「このサービスを通して、アスリートのファンコミュニティも盛り上がっていくといいなと思っています。アスリートのYouTuberなども話題になってはいますが、継続的にファンを惹きつけるというのはなかなか難しい。企画力がものを言う世界ですし、だからと言ってアスリートのイメージを振り切るような企画をする必要があるのかという疑問もあります。

アスリートとファンとのつながりを、スポーツという1点だけではなく、フィットネスという接着面を加えることによって、フォロワー数を増やすことにつなげていきたいと思っています。そして、それがアスリートのやりがいにも繋がれば、みんなが幸せになれますからね」
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文=定家励子(パラサポWEB) 写真=吉永和久

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