ビジネス

2022.01.05 07:30

上場と未上場の垣根を越える


神先:私はバックグラウンドが公認会計士で、もともと監査法人に勤めていましたから、大企業の要職の方々とお仕事をする機会が多かったんです。大事なのは自然体でいることですね。相手が何を考えているのかをしっかりと理解して、そのうえで自分が思っていることを素直に伝えるように意識しています。

SMTBさんは、池村さんやイノベーション企業推進部の皆さんだけでなく、意思決定ラインの役員の方々まで全員が本気でスタートアップと一緒にイノベーションを起こそうとしていて、熱量の大きさを感じました。

池村:神先さんをはじめ、この1年間で70人ほどのスタートアップ経営者と面談しましたが、若いプレイヤーたちの挑戦はすごく面白い。未上場のIRマーケットを大きくして、スタートアップがより発展しやすい環境をつくることはワクワクします。

神先:SMTBさんは国内企業の証券代行で4割のシェアをおもちで、ダイレクトに大企業の経営層とつながっている。このネットワークをスタートアップのエコシステムに注入することは大きな意味があります。

池村:同感です。彼らと大企業とを結びつけてオープンイノベーションを活性化させたい。また、例えば、スタートアップが未上場のときは株主総会クラウドを使って、上場した後は我々の証券代行でサポートさせていただくという連携もできます。

上場への過程では、株主構成やガバナンスの仕組みが大きく変わってしまうので、一気通貫でサポートすることはスタートアップにとってもメリットがある。未上場のIRマーケットを確立していくなかで、メインプレイヤーになれるよう神先さんと一緒に汗をかいていきます。


池村隆司◎三井住友信託銀行イノベーション企業推進部長。1970年生まれ。同志社大学商学部を卒業後、同行に入行。上場株式のアナリストやファンドマネージャー、リサーチ・コンサルティングなどを経て2020年より現職。
 
神先孝裕◎ケップル代表取締役。公認会計士、税理士。1986年生まれ。法政大学法学部卒。有限責任あずさ監査法人を経て2013年11月に独立し、スタートアップに特化した会計事務所を設立。その後、2015年にケップルを創業。

文=眞鍋 武 写真=平岩 亨

この記事は 「Forbes JAPAN No.086 2021年10月号(2021/8/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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