賛否両論
ワールドカップを4年に一度ではなく隔年で開催するというFIFAの計画には、欧州サッカー連盟だけでなく、南米サッカー連盟(CONMEBOL)も反対している。
だが、アフリカサッカー連盟(CAF)の支持を得ているほか、アジアと北米の多くの協会も賛成する可能性があることから、加盟国の投票にかけられれば、この計画が現実になる公算はかなりある。
この案が、とりわけ小規模な加盟組織にとって魅力を増したのは、FIFAがグローバル調査会社ニールセンによる実現可能性調査を発表した2021年12月20日のことだ。その調査では、隔年開催にすれば、4年間の収益は実に44億ドル増の114億ドルに跳ね上がると予測されている。
FIFAはこの増益分について、加盟国の連帯のための基金を設け、各国の協会に1600万ドルの資金を提供するとした。小規模な国の協会にとっては、少なくない金額だ。
一方で欧州サッカー連盟も、ワールドカップに関して独自の調査を依頼しており、FIFAとは別の知見を得ている。
欧州サッカー連盟の依頼で調査をおこなったコンサルタント会社オリバー&オールバウム(Oliver & Ohlbaum)によれば、隔年開催になった場合、加盟国の協会は28億~33億ドルの損失を被るという。
自明だが誰も語らない課題
この件の全体に影響している、もうひとつの要素がある。言うまでもなく、ヨーロッパの資金豊富な各クラブと、それ以外のクラブの格差だ。
ワールドカップを隔年で開催すれば、そうした格差問題の解決策になるのだろうか。その点については議論の余地がある。
隔年開催にすれば全体の収益は上がるかもしれない。しかし、大会の水準がクラブの試合を凌駕し、クラブの試合に劣らないほど多くの見逃せないテレビイベントを生み出す可能性は低い。
ワールドカップにおける「パナマ対チュニジア」のようなグループリーグの試合は、毎年のチャンピオンズ・リーグのグループステージで展開される多くの注目試合と同じ水準にはならないだろうし、チャンピオンズ・リーグのように世界中の観衆を引きつけることもないだろう。
この点は、FIFAが解くべき難問として残されている。