──創業当時はコワーキングスペース事業もやられていました。こちらはどのような理由だったのでしょうか?
シリコンバレーにたくさんあり、スタートアップを次々と輩出するコワーキングスペースのような存在が日本にはほとんど無かった。ゆえに必ず求められるようになるだろうと考え立ち上げました。Goodpatchの社名の由来も、Instagramを輩出したDogpatch Labs.というコワーキングスペースです。
この意思決定は今思えば若気の至りでした。起業したての限られたリソース内で複数の事業を持つ会社は決してうまくいきません。
グッドパッチCEO 土屋尚史 (提供=DIMENSION NOTE)
特にコワーキングスペースは資本力がある程度必要なビジネスですから、緻密な計画と準備が求められます。弊社も創業から半年もするとキャッシュがすぐに枯渇してしまいました。
そうしてなんとか会社を存続させるために、必然的にUIデザインに事業をフォーカスせざるを得なかったというのが本音です。しかし事業を絞ったことが、その後の会社成長のきっかけとなりました。
──いずれもイノベーションの最先端に触れることで創業のアイディアを見つけられたのですね。今、起業を考えるような人はどこに着目すべきでしょうか。
状況によりけりなので一つに断定することは難しいですが、ここ数年のイノベーションを見ていると、やはり中国が発信拠点になっているのは間違いないでしょう。
ビジネスをする難しさはあれど、事業のインスピレーションを得るという意味では今の中国にはたくさんのヒントがあるように思います。
情報は世の中に山のように溢れていますが、実際に飛び込み、イノベーションの熱気に実際に触れてみること。この「行動」が大切なのではないでしょうか。