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2021.12.28

グノシーのUIデザイン担当に抜擢 それを可能にした「運」のつかみ方|グッドパッチ 土屋尚史 #2

グッドパッチCEO 土屋尚史 (提供=DIMENSION NOTE)

「デザインの力を証明する」をミッションに掲げ、デジタルトランスフォーメーション(DX)に欠かせないUI/UXデザインのリーディングカンパニーとして存在感を高め続けている株式会社グッドパッチ。2020年には東証マザーズ上場も果たした。そんな同社を牽引する代表取締役社長/CEO 土屋尚史氏に、起業家にとって重要な素養、成長事業の創り方などについてDIMENSIONビジネスプロデューサーの伊藤紀行が聞いた(全4話中2話)

第一話:「離職率40%超え」を立て直した原動力|グッドパッチ 土屋尚史 #1


運命を変えたシリコンバレーでの衝撃


──土屋さんがデザインの領域で起業されたきっかけをお聞かせください。

私が起業をしようと決めたのは27歳の時に、祖母の遺産が見つかったことがきっかけでした。そしてそれを軍資金に、2011年にサンフランシスコに渡りました。その時は何の事業をやるか全く決めずに、とにかくシリコンバレーに行けば何か見つかるだろうと(笑)。しかしその経験が、私にとって大きなターニングポイントになりました。

2011年はちょうどUber(2010年〜)やInstagram(2010年〜)が出てきたタイミングで、シリコンバレーから多くの著名スタートアップが生まれた年。当時はAirbnbが30人規模、Uberも10人程度のチームでコワーキングスペースに拠点を構えていたような時代でした。

私は3カ月ほどサンフランシスコの会社で働いたのですが、オフィスの2ブロック先にInstagram、3ブロック先にTwitter、4ブロック先にはPinterestがいるという場所。まさにイノベーションのメッカだったのです。

その街で毎日のように開催されるピッチ大会に参加して、明らかに日本とレベルが違うと感じたのが、シリコンバレーのスタートアップが作るサービスの「UI/UXデザイン」でした。

私は日本でWebデザイン会社でディレクターとして働いた経験がありましたが、明らかに日本にあるアプリのUIはシリコンバレーのそれに比して見劣りしていました。

シリコンバレーのスタートアップはβ版の段階からUIデザインを差別化要素として非常に力を入れていて、創業者の中にもデザイナーがいる。説明がなくとも直感的に理解できるシンプルなUIデザインばかりだったのです。

それを証明するように、Instagramは初期の頃はずっと英語版アプリしかありませんでしたが、日本でもユーザー数を急成長させていきました。

この事実を見た時に、日本も「デザインの力」がもっと求められるようになると確信しました。そして帰国後、UIデザインにフォーカスしたデザイン会社を創業したのです。
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文=伊藤紀行 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

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