ビジネス

2021.12.29

「ナレッジの循環」を社内の最優先目標にする理由|グッドパッチ 土屋尚史 #3

グッドパッチCEO 土屋尚史 (提供=DIMENSION NOTE)


天才に頼らない組織をつくる


──組織づくりについて工夫されていることをお聞かせください。

「天才に頼らない組織」というコンセプトがあります。

デザイン会社と聞くと、天才デザイナーが率いる個人事務所など、属人性の高い会社のイメージが強いと思います。確かにデザインの仕事から属人性をすべて排除することはできませんが、そのような天才に依存する組織には永続性がありません。

グッドパッチは「天才に頼らない」と決めて、創業の初期段階から社内の知見やノウハウをシェアする文化を徹底してきました。毎度“車輪の再発明”みたいな仕事をするのではなく、ナレッジ化できる部分は共有化して底上げをする努力をし続けてきたのです。

具体的には、創業初期からナレッジやプロセスをシェアする場を定例的に実施していますし、組織が100人を超えた頃からはドキュメントとして残すように仕組み化してきました。

すごく普通のことのように聞こえるかもしれませんが、クリエイティブ系の会社でこれを組織文化として根付かせることができている会社はほとんどありません。言語化しづらい、抽象的な領域の業務が多いせいで仕組み化を諦めてしまうからです。

その点、グッドパッチは会社の文化としてナレッジを共有する仕組みが根付いていて、それが組織の強みにもなっていると思います。

──どのようにしてその組織文化を築きあげていかれたのでしょうか?

経営者が強い気持ちを持ってやり切る。これに尽きると思います。

弊社は何十社ものクライアントワーク、さらには自社でのプロダクト開発が複数あり、また2015年からは初の海外拠点「Goodpatch Berlin」を開設するなど、様々な観点からビジネスに関わることのできる機会が揃っています。

これらのナレッジが有機的に繋がっていることがグッドパッチ最大の競争優位性であり、逆にナレッジが組織内で循環していないことは顧客に対して最大価値が出せていないことと同義である、と明言しています。

私は会社の最優先目標として社内でのナレッジ循環を掲げているほど、このことにこだわりを持ってコミットしています。組織文化は経営トップの強い覚悟無くして生まれることはありません。


土屋尚史(つちやなおふみ)◎1983年生まれ。サンフランシスコに渡り海外進出支援などを経験した後、2011年9月に株式会社グッドパッチを設立し代表取締役社長 / CEOに就任。UI/UXデザインを中心に、スタートアップから大手企業まで数々の企業サービスのデザインを手がける。自社でもデザイナー向けキャリア支援サービス「ReDesigner」やクラウド型ワークスペースツール「Strap(ストラップ)」など数多くのサービスを立ち上げる。2020年6月には東証マザーズ市場への上場も果たした。

文=伊藤紀行 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

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