第一話:「離職率40%超え」を立て直した原動力|グッドパッチ 土屋尚史 #1
第二話:グノシーのUIデザイン担当に抜擢 それを可能にした「運」のつかみ方|グッドパッチ 土屋尚史 #2
──スタートアップでは安価な価格で仕事を受けるものの、なかなか単価を上げられずに苦労する会社も多いです。その点はいかがお考えでしょうか?
まず前提として「単価を上げる」ことに関しては、創業時から強い使命感を持っていました。なぜならば日本においてデザインが適正単価で扱われていないと考えているからです。
日本のデザイン会社が適正単価で仕事をしないことでマーケット全体の価値が下がり、デザイナーの市場価値が下がり、平均年収も低くなる。こんな負のサイクルが働くマーケットでは、決して優秀な人材は入ってきてくれません。
なので、デザイナーの価値を上げるために「業界単価基準を引き上げる」ことはグッドパッチのミッションの一つだと思っています。
特にUI/UX領域では我々がマーケットリーダーとして一番価格交渉力を持っているので、我々が安易な値下げをすることは絶対にやってはいけないという、一種の使命感を持って仕事をしています。
その前提があった上で、実際に単価を高めるためにはいくつかの必要要素があります。
一つ目はマーケット自体が拡大してサービスに対するニーズが増えること。当然ながら価格は需要と供給のバランスで決まるので、需要に対して供給が追いついていないマーケットでは価格が上がっていきます。
我々のメインサービスであるUI/UXデザインも、スタートアップの資金調達環境が圧倒的に良くなったことでデザインに対する投資が増えたり、大企業も続々とUIデザインに投資をするようになったりしたことで、需要に対して供給が全く追いついていない状況です。
二つ目の要素が仕事のクオリティ。顧客の期待値を超えるアウトプットを出し続けないと、いくらマーケットニーズが大きくなっても、いつかバブルのように顧客は離れていきます。
グッドパッチと同時期に創業したUI/UXデザインの会社はいくつもありましたが、その中でグッドパッチだけがこれだけ大きくなれたのはやはり、アウトプットの質を高め続けることができたからでしょう。
需要が伸びている市場で最高のパフォーマンスを出し続ける。
極めてシンプルですが、これが「単価を上げる」上で欠かせないポイントなのだと思います。