「私たちの世代が変えるしかない」11歳の環境活動家の覚悟

撮影=曽川拓哉


将来は皮膚科医に


Green Akariのこうした活発な活動について、彼女の母はどう考えているのだろうか。

「娘がヴィーガンとして発信をすると決めたとき、不安はありました。少数派であるうえに、子どもなので攻撃されるのではないかと。現に誹謗中傷するコメントが寄せられることもありますが、彼女自身は気にすることなく、SNSで環境問題に興味のある子たち同士で繋がったり、彼女と同じ考えを持つ沖縄の友だちに会いに行ったりしています。通っている小学校で意見を同じくしてくれる人がいないのならば、別の場所で交流をしていけばいいと、いまは思っています」

母もGreen Akariの活動をこのように全面的にバックアップしているが、彼女のこれからについては、次のように続ける。

「この1年半で、話す力、集中してやり遂げる力がとても伸びました。かつては、習い事などに熱中する性格ではなかったし、いまのような自主性もなくて、私より先に学校から帰ると10分おきに『次は何をしたらいいの』と電話がかかってくるという具合でした。それも私の仕事中に(笑)。

なので、集中して取り組めることが見つかっただけでも、私としては嬉しい。それに、もともとはシャイで人前に出るのが苦手なタイプでしたが、それもインスタライブをやるうちに克服して、いまではどんな人の前でも生き生きとした表情で話せるようになりました」

母は、娘の変化についてこのように語るが、Green Akari自身も自らの性格が変わってきていることに驚いている。

「学校の休み時間にドッチボールと鬼ごっこのどっちをやりたいか決めるとき、私はみんなの手が多くあがったほうへと従うタイプでしたが、いまは自分のやりたいことをはっきりと主張できるようになって、周りに流されることがなくなったと思います。

ものの伝え方も学びました。いままでは、給食の時間にお肉を食べている男の子に『それは動物の死体を食べてるんだよ』とか言ってしまっていた。でもそんな伝え方をしても、嫌味の言い合いになってしまうので何も変わらない。意見を伝えるときは、相手の気分が悪くならないように給食以外の時間にするとか、理由から順番に説明してみたりして、気を配るようになりました」

地球環境問題を知るようになり、わずか1年余りの時間で大きく成長してきたGreen Akari。彼女が考えている将来の夢について聞いた。

「いまの活動は自分が納得するまで続けていきます。そして将来は皮膚科医になりたいです。最初はドラマの「Doctor-X 外科医・大門未知子」の主人公に憧れて、外科医になりたかったんですけど、『これはドラマの世界だからできること』と思うようになりました(笑)。だからいまは考えを改めて、私自身も経験してきたので、アトピーに苦しんでいる人や皮膚病に悩んでる人を守りたいと思っています」

環境活動家

いまの彼女には信頼できる大人や思いを同じくした同士がいる。次々と人を巻き込みながら、いつか耳を貸さなかった大人たちにもその熱が伝播していくことを願う。

文=露原直人 撮影=曽川拓哉

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