Forbes JAPANでは、これまでの考え方や既存のシステムを超えて活躍する女性にフォーカスした企画「Beyond Systems」を始動。翻訳コンテンツを含めたインタビュー記事を連載していく。
ウォルト・ディズニー・ジャパン代表取締役社長のキャロル・チョイは、ナイキやユニバーサルミュージックなどのグローバル企業を経て、2006年にウォルト・ディズニー・カンパニーに入社。キャリアでは一貫して「ブランドとコンシューマーとの絆づくり」に取り組んできた。
ディズニー入社後は、複数のエグゼクティブポジションを経験。グレーターチャイナ(中華圏)ではマーケティング担当バイスプレジデント、韓国(コリア)ではマネージング・ディレクターとして、マーケティング領域を含めて大きな成果を残してきた。現在はウォルト・ディズニー・ジャパンの社長として、定額制動画配信サービス「Disney+(ディズニープラス)」の指揮もとる。
自分のミッションは「橋渡し」
香港生まれ、アメリカ育ちのチョイは、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)卒業後に、南カリフォルニア大学でMBAを取得。2006年にウォルト・ディズニー・カンパニーに入社するまでの間に、国際的なトップブランドを複数社渡り歩いてきた。
「振り返ると、これまでの人生では何かしらの“橋渡し”の役割を務める機会が多くあったように思います。
例えばナイキの香港オフィスで働いていた頃は、アジア太平洋地域を担当し、『ナイキ』というアメリカのブランドとアジアの文化をつなげることが私のミッションでした。
そのような役職を多く任されてきたのは、私が香港とアメリカのハイブリッドな環境で生まれ育ったことが関係していると思います」
チョイがキャリアの方向性をはっきり認識したのは、その後、ユニバーサル ミュージックでアイドルのプロデュースを手掛けるようになった時だったという。
上海のオフィスで「充実した日々を送っている」と思い込んでいたものの、たまたま前職のナイキ時代の上司と話したとき、チョイは自分でも思わぬ心情を吐露していた。
「『大きなブランドでの仕事が懐かしいし、恋しい。なぜならトップブランドには消費者との間に特別なつながりがあるから』と言ってしまったんです。それを聞いた元上司は『何を言っているの、あなたはトップセレブリティと一緒に仕事をしているじゃない』と返しましたが、やっぱり、私は有名人と仕事をすることよりも、トップブランドにおける“消費者とのつながり方”を追求したいんだと気づいたんです」
チョイのもとに1本の電話がかかってきたのは、そんなタイミングだった。電話の相手は、ウォルト・ディズニー・カンパニー。思いがけない仕事の打診だった。
「ディズニーとの思い出は誰にでもあるものですよね。もちろん私にもあります。まさかそんな影響力の高いトップブランドから声をかけてもらえるとは思っていなかったので、とても驚きました。ディズニーならばやりたいことができる、と思いました」