2015年9月に国連サミットで採択されてから6年あまり、世界の動きから出遅れ気味の日本だったが、ようやくトレンド入り。電通の調査によれば、国内のSDGsの認知度は54%(2021年4月)と、前年同時期からほぼ倍増していることからもSDGsの広がり伺える。
最近、それを身近に感じる出来事があった。筆者が監修しているジャニーズグループ「A.B.C-Z」のラジオ番組『A.B.C-Z 今夜はJ’s 倶楽部』(NHKラジオ第一)内のコーナー「A.B.C-Z と学ぶSDGs」でのこと。
11月の公開収録に出演した際に、若者の感度の高さをひしひしと感じたのだ。番組内で5人のメンバーがそれぞれ自分の取り組むSDGsゴールを発信すると、ファンからも多くの共感を得ていた。
認知度ではなく「理解度」が課題
このような流れの中で、日本企業にはどのような役割が求められているのか。「認知度」があがってきた今、「理解度」が課題だ。
17カテゴリを網羅する必要はないが、自社が関係する目標を理解できていないと、いざSDGsに取り組んでも、実態が伴っていない「SDGsウォッシュ」と非難されかねない。SDGsの活用の程度で企業により差がつき、消費者から選別されていく段階に入っている。
企業およびビジネスパーソンは、こうしたSDGsの内容までを理解したうえで「SDGs経営」に取り組む必要がある。
SDGs経営とは、経営の4要素である「ヒト・モノ・カネ・情報」のすべてにおいて、SDGsを活用する経営である。つまり、SDGsを社内の“共通認識”として共有したうえで、重点事項の選定、目標設定と進行管理、経営戦略、発信などすべての経営プロセスでSDGsを念頭において考えるのだ。
SDGs経営を推進することで、対外的にはグローバルでの企業価値を高める効果があり、対内的には社会課題解決型のイノベーションの実現や、従業員のモチベーション向上につながるといった効果がある。