アンリミテッド・トゥモローが目指す、新たな義肢の世界標準

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資金が必要となった同社は、2018年にクラウドファンディングで資金調達を行った。「30日間で、1200人から160万ドルが集まった」とラシャペルは言う。「新たなケアモデルと新技術を導入した。今では従業員が22人に増え、エンジニアリング、臨床、製造を専門とするスタッフも揃っている」

アンリミテッド・トゥモローは、入手のしやすさ、手ごろな価格、耐久性の3つを何よりも重視してきた。ラシャペルがかつて科学フェアで少女と出会って気づいた点だ。

アンリミテッド・トゥモローが2019年に発表した「TrueLimb」は、軽量かつ低価格という業界初の多関節義手だった。肌色なども装着者ごとにパーソナライズされており、装着者は自宅にいながら、わずか数週数間で義手を製造・入手できるようになった。

そして今、同社は大きな目標を掲げている。「義手製造分野の標準規格を打ち立てたいと考えている」とラシャペルは言う。

アンリミテッド・トゥモローはすでに市場を拡大中で、2021年11月にはカナダへの事業進出を発表した。「さらに世界へと進出していくつもりだ。次は欧州とオーストラリアを視野に入れており、それらの地域の規制や規格を調べている。私たちは、義肢をシステム的に解き明かそうとしている。この市場では過去20年、イノベーションがほとんど起きていない」

アンリミテッド・トゥモローは、義手以外も見据えている。「いずれは義足も製造していきたい」と、製造部門マネージャーのスティーブ・ヴァン・フリート(Steve Van Fleet)は話す。するとラシャペルが、「下半身の外骨格を研究しているところだ」と付け加えた。「上半身の外骨格も含め、可動性の回復につながるものについて研究している」

「私はたくさんの場所で働いてきたが、使う人の個別性を非常に大事にするところはここが始めてだ」とヴァン・フリートは言う。ラシャペルも、「本物らしさとパーソナライズされたソリューションには、たくさんの心理的な要素が絡んでくる。使う人が子どもであれば、なおのことだ」と述べた。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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