サーナーはデジタルヘルス分野をリードする企業の一社で、その電子医療記録(EHR)システムは全米の大手医療機関で広く採用されている。ほかにも、データ解析や公衆衛生管理、相互運用ソリューションなどさまざまなサービスを提供している。同社自体もここ数年、元グーグル医療部門トップのデビッド・ファインバーグを最高経営責任者(CEO)に起用するなど変革を進めてきた。
オラクルはすでに医療分野で数多くのサービスを提供しているが、サーナーの買収によって臨床医学分野に本腰を入れることになる。
デジタルヘルス分野の急速な発展を踏まえれば、オラクルによるサーナー買収は理にかなっていると言える。複雑に入り組んだ医療産業の現状を改善しようとテック大手各社がこの分野に傾注しており、今年はマイクロソフトも臨床医学分野への進出の一環で医療向け音声認識技術のニュアンス・コミュニケーションズを買収した。
アマゾンやグーグルのほか、ウォルマート、ベストバイなども、13兆ドル(約150兆円)規模の医療市場に食い込もうと躍起になっている。
オラクルの共同創業者で最高技術責任者(CTO)のラリー・エリソン会長は、「サーナーとオラクルが手を組むことで、より質の高い情報を医療従事者に提供し、それを通じて医療提供を変革していくことができる」と表明。使い勝手のよい新世代の医療情報システムを構築することによって、患者のプライバシーやアウトカム(医療成果)を向上させ、全体的な医療費も抑制できるとの考えを示した。
オラクルとサーナーのシェアやブランド力を考えると、両社のパートナーシップが今後、医療のあり方を変えていくことはおおいに期待できそうだ。