抜け毛に悩む人が増加 原因にはコロナ禍や幹細胞の「脱走」も?

Varangkana Petchson / EyeEm / Getty Images

髪が薄くなったり抜けたりしている場合、その原因は新型コロナウイルス感染症かもしれない。

コロナ禍が続く中、新型コロナウイルス感染症は呼吸器系の健康だけでなく、心の健康や聴覚・バランスまであらゆるものに悪影響を与え得ることが明らかになっている。髪はどうやら、その新たな犠牲者のようだ。

過去1年だけで、抜け毛に関するグーグル検索は8%増加した。抜け毛関連の議論のためのソーシャルメディアのグループは、新型コロナウイルス感染症が流行を始めてから会員数が大きく増加したと報告している。ネット上の傾向と同様に、抜け毛や薄毛を理由とした患者が殺到していると説明している皮膚科医は多い。

この原因は何だろう? これは一時的なものだろうか?

幸いなことに、新型コロナウイルス感染症の流行による抜け毛はおそらく一時的なものだ。抜け毛は遺伝や老化、ホルモンや食生活の変化、ダメージを引き起こすヘアスタイルなどさまざまな理由により生じ得る。

しかし、新型コロナウイルスが流行する中で米国全土で抜け毛が増えたことは、同ウイルスに感染した身体的な衝撃か、コロナ禍を経験した感情的な衝撃により誘発された可能性が高い。このプロセスのきっかけとなるのが休止期脱毛と呼ばれる疾患だ。

休止期脱毛は脳や体がストレスにさらされているときに発生し、毛包が通常より早く成長を停止することにより生じる。人の髪は通常1日に50~100本抜けるため、新たな髪が生えてこなければ、そのうち頭がはげたり薄くなったりする可能性がある。これは一時的な病気で、体が休息を取り戻したら髪の成長も通常に戻る。

過去数年間で多くの人が経験した一時的な脱毛は、休止期脱毛により説明できるかもしれない。一方コロナ禍で頭が薄くなる人が増えたことにより、そもそも私たちの髪はなぜ抜けるのかという疑問が浮かぶ。

ノースウェスタン大学のルイ・イー教授が行った調査では、この長年の疑問に対する答えを発見する上で顕著な進歩が示されている。もしかしたら、抜け毛を経験している多くの人への治療法がついに見つかるかもしれない。
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翻訳・編集=出田静

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