しかし皮肉なことに、リーダーの多くは、部下の成長を促すのがあまり得意でない。筆者の企業リーダーシップIQがこのほど実施したアンケート調査では、上司が部下の成長と潜在能力を引き出すため常に積極的な役割を担ってくれていると答えた従業員は、わずか20%だった。
この問題に対処するためには、月1回のペースで上司と2つのシンプルな目的を持った話し合いの場を持つことが重要だ。1つ目の目的は、今後1カ月で自分が伸ばしたい分野を見つけること。2つ目は、過去1カ月で自分が成長できた内容を共有すること。
ただ、こうした話し合いをすべきだと思っている上司は多くなく、そう思っている場合でもそのやり方が分からない人が多い。従って、部下側がさりげない形で上司を導く必要があるかもしれない。
まずは、自分がどのように成長し学びたいかを、上司に示そう。次に、自分が学習したことを評価して次のプランを立てるための毎月の対話に、上司が応じてくれるかどうか聞くこと。おそらく以下のような会話になるだろう。
「私は常に成長し、学び続けたいと思っています。そのために、月1回、短時間でよいので、話し合いの機会を持っていただけますか? 自分が身に付けるべきスキルや身に付けられるスキルについてのアドバイスをいただきたいです。加えて、私が毎月学んだことについても報告します。努力するのは自分自身ですが、アドバイスや指示をいただけるととても役に立つと思います」
神経質だとかこびへつらいに聞こえることが心配な場合は、もう少し控えめな言い方をしてもよい。ただし会話の中には、以下に挙げる3つの項目を必ず含めることが重要だ。
第1に、対話の目的は自分の成長と学びであることをはっきり知らせること。部下によって話し合いの場を求められると不安を抱く上司は少なくない。部下からのこの手の申し出は経験上、苦情の申し立てや昇給の要望、退職願いの通達ではないかと身構えてしまう。しかし実際は、成長と学習という前向きで充実した内容を話し合う場であるため、冒頭から会話の目的を明らかにすべきだ。