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2021.12.22

虚偽説明問題のニコラ、制裁金140億円支払いで和解

T. Schneider / Shutterstock.com

米新興EV(電気自動車)トラックメーカー、ニコラが事業について虚偽の説明をして投資家から金をだまし取ったとされる問題で、米証券取引委員会(SEC)は21日、ニコラが制裁金1億2500万ドル(約143億円)を支払うことで和解に応じたと発表した。ニコラをめぐってはトレバー・ミルトン元会長の詐欺疑惑をきっかけに、SECなどが1年あまりにわたって調査を続けていた。

SECは声明で、投資家らの判断を誤らせたとされるミルトンの説明などについて、ニコラには責任があると指摘。こうした説明は個人投資家に損害を与えたとも言及し、支払われる制裁金は「被害を受けた投資家」への返金に充てられると説明した。

SECによると、ニコラは昨年、少なくとも7カ月にわたって自社の製品や技術進歩、商業的見通しについて投資家を欺いた。ニコラ側はこれまで、SECの調査結果を認めてもいなければ否定もしていない。

ニコラの株価は昨年、問題が明るみに出る前まで急騰していたが、以後は当時の高値に比べて85%近く下落している。それにともないミルトンも巨額の富を失い、フォーブスによると、保有するニコラ株の価値は昨年6月時点の87億ドル(約9900億円)から足元では10億ドル(約1100億円)未満に下がっている。

米連邦検察当局は今年7月、ニコラの事業の「ほぼすべて」について虚偽の説明をしたとしてミルトンを証券詐欺罪などで起訴。ミルトンは無罪を主張し、保釈金1億ドル(約110億円)を支払って保釈されている。

ニコラは先週、EVトラック2台を顧客に初めて納車し、今年の売上高は800万ドル(約9億1000万円)弱を見込んでいる。

ニコラのマーク・ラッセル最高経営責任者(CEO)は、SECとの暫定合意が公表された先月、制裁金は2年かけて支払うことになるとの見通しを示していた。

編集=江戸伸禎

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