通話アプリTango 「買い物機能」でアリババと連携

Tango創始者CEOのウリ・ラズ氏(左)とCTOのエリック・セットン氏(右)(Courtesy Tango)



現在、メッセンジャー・アプリ業界の新たなトレンドが、メッセージ以外の機能の強化。
フェイスブックは先頃、「フェイスブック・メッセンジャー」内にビジネス・コミュニケーションのためのプラットホームを構築するとの発表を行った。

その数週間後、通話アプリの「Tango(タンゴ)」は、アプリ上でショッピングができる機能を発表した。

Tangoは昨年3月、中国の「アリババ」から2億1500万ドルの出資を獲得。企業価値が11億ドルに達した。そのTangoが、アリババのショッピング部門やウォルマートと連携することで、モバイルコマースの世界に新たな旋風が巻き起こりそうだ。

Tangoの買い物機能を使えば、アプリ内から直接、買い物を行うことができる。同社の創始者でCTOのエリック・セットン氏は、「買い物サービスをネイティブ・アプリ化させたメッセージアプリはTangoが初めて」と話す。

セットン氏によると、Tangoは「WeChat」の事業モデルを参考にしたという。「中国にいる我々のチームが中心となり、海外でも受け入れられる機能の開発を行った」とのこと。

WeChatはユーザー数5億人を誇るアジア最大のメッセージ・アプリ。そのWeChatがイーコマースに目を向けたのは2013年だ。コマースの立ち上げ時には、中国のスマホメーカー「小米科技」(シャオミ)の限定モデルを用意した。

昨年3月にはWeChatの親会社である「テンセント」が、中国第2のイーコマース企業である「JD」の株18%を取得。これによりWeChatとJDは急速にパートナー関係を深め、WeChatユーザーはJDのウェブサイトから商品を購入できるようになった。

セットン氏によると、「現状ではWeChatを含むメッセンジャー・アプリ内の買い物は、アプリから外部のサイトに遷移して購入するスタイルが主流」とのこと。Tangoのようにネイティブ・アプリ化したショッピング機能を持つものは他に無いという。

Tangoのショッピング・サービスは現在、米国のユーザー向けに展開されているが、今後は、米国以外の小売業者と事業提携を結び、同アプリが広く利用されている西ヨーロッパや中近東などでの事業を拡大させていくという。

アリババ社は、昨年のTangoへの出資で同社の株の約4分の1を所有することになった。また、Tangoは昨年、音楽ストリーミング企業のSpotify(スポティファイ)とも事業提携を行っている。今回のショッピング機能のネイティブ化は競合のアプリと大きな差をつける結果となるだろう。

メッセンジャー・アプリで商品を買うという行為は、中国や他のアジア諸国では一般化しつつあるが、西洋諸国ではまだ浸透していない。ユーザーが、「アマゾンのリンクをチャット内にコピー&ペーストするよりも、アプリから直接買い物できるほうが便利だ」と気づけば、今後さらに受け入れられるようになるだろう。

「Tangoの新ショッピング機能は信じられないぐらい便利です」とセットン氏は強調する。「チャットと商品を結びつけることができるのですから。これはリンクのコピー&ペーストとは全く違います」

文=パーミー・オルソン(Forbes)/ 編集=上田裕資

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