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2021.12.30

世界での競争力が弱まった日本。今求められるリーダー像は?|VERBALx入山章栄


平成元年当時、海外市場といえば欧米ぐらいでしたから、日本は世界第2位の市場規模でした。だから日本市場で勝てば世界でもそれなりのビッグビジネスになったんです。そのため、時価総額ランキングの上位に入っていたのはNTT、日本興業銀行、住友銀行など、海外でのシェアはそれほど高くない企業がほとんどでした。

では、この30年間で何が起きたのか。世界中のマーケットが、新興市場も含めてガンガン盛り上がった。それで日本市場が相対的に小さくなってしまったということです。

今、日本人は、世界の人口に対して70億分の1になりました。中国は10億人、インドは12億人、東南アジアも全体で6億人を超えていて、市場としても拡大しています。また、南米のマーケットにも潜在力があると言われています。

この30年間、日本はエンタメだけでなくビジネス全体で国内に閉じていたんですね。いままさにそこが課題になっています。韓国はそもそも人口が約5000万人と少ないので、最初から世界で戦わないとしょうがなかったところがあるというのが僕の理解です。

だからサムスンは世界で強いし、韓国からの留学生は非常に優秀です。みんな英語を話しますし、国際意識も高いですから。日本の若者やスタートアップの課題は、グローバル化だと思います。

そんな中で、バーバルさんの話を聞いて、若い世代ほど世界に通用する人たちが出てきているのだなと再認識しました。白濱さんのようなアーティストの世界では、言語の壁さえ越えていけますもんね。

「うまく打とうと思うな」


──最後に、これから未来を担っていく若者にメッセージをお願いします。

バーバル:僕は昔から、自分の胸に強く刺さっている言葉があるんです。アメリカの第33代大統領ハリー・トルーマンの「自分の成し遂げた功績が誰の物になっても気にしないというのであれば、人間は一生の間にどんなことでも達成できる」という言葉です。

本当にそうだなと思って。人間、「俺が、俺が」となると、何かを成し遂げようとか、成功させようというところに至らないと思うんです。誰が手柄を取るかなんて関係なく、何が何でもそれを成功させようとするから、新しい景色をみんなで見られる。

そうなると「1+1=2」じゃなくて「1+1=10」になるような経験ができるんじゃないでしょうか。若い人たちにもこのトルーマンの言葉が何かの足しになってくれたらいいなと思います。
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文=久野照美 取材・編集=田中友梨

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