ジェンナーがテキーラブランド「818」の創業を考えた5年以上前、彼女が目標として掲げたのは、男性優位のこの業界に女性主導の、ジェンダー・ニュートラルなブランドを立ち上げること。そして、それを社会と環境に対して責任を負う企業にすることだ。
セレブ一家出身のジェンナーは、女性起業家たちに囲まれて育ってきた。今年初めてフォーブスの世界長者番付に名を連ねた姉のキム・カーダシアンは、シェイプウェアブランドのスキムズを創業。妹のカイリー・ジェンナーは、カイリー・コスメティクスを立ち上げている。これら2社はいずれも、企業価値が10億ドル(約1140億円)以上と評価されている。
フォーブスの独占インタビューに応じた(ケンダル・)ジェンナーは家族について、次のように語っている。
「女性が多数派の私の家では、姉も妹も自分のビジネスを持っています。私は本当に、子どものころからずっと、家族から刺激を受けてきました」
多肉植物のアガベ(リュウゼツラン)を原料とする蒸留酒(テキーラ、メスカル)造りは、男性優位の世界だとされてきた。女性がオーナーのテキーラブランドは、ほとんどない。だが、実際にはアガベの畑からテキーラの工場までにおいて、女性はなくてはならない存在だ。
テキーラは「すべての人」のためもの
ジェンナーは自身のブランドについて、初めから「地球にやさしい」ものにしたいと決意していた。それは彼女にとっては譲れない一点だったという。
そこでジェンナーは、アウトドアブランド、パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナードが2002年に創設した非営利団体「1%フォー・ザ・プラネット(1% for the Planet)」に加盟。パタゴニアのほかオネストティー(Honest Tea)やネイチャーズパス(Nature’s Path)といった数多くのブランドとともに、年間売上高の1%を同団体に寄付し、環境問題への対策を支援している。