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2021.12.29 12:00

日本の若者に足りないのは「パッション」?|VERBALx入山章栄

(左から)入山章栄教授、VERBAL


僕は両方とも必要だと思うんですけど、世界の流れをみると「事業発見型」から「事業創造型」になってきています。しかし日本では、創造型の起業家が圧倒的に足りていません。今ビジネススクールで僕の授業を受けているのは大手企業の30代〜40代のビジネスパーソンが多いのですが、彼らも分析するのが好きですね。
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ビジネススクールって、理論とかファイナンス関連の知識ばかり詰め込むので、どうしても理屈っぽくなりがちなんです。でも事業創造型に必要なのは、「理屈はいいからやっちまおうぜ」みたいなパッションなんですよ。

実は数年前からそう考えるようになって、だとしたらビジネススクールにパッションの授業はないなと思い、起業家に話をしてもらう授業を始めました。僕の周りにはパッションのある起業家がたくさんいるので、彼らに来てもらって、とにかくパッションだけ語ってもらっています。

バーバル:やっぱり理屈じゃなくてパッションが大事ですよね。僕も似たことを感じた出来事がありました。
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2018年に、m-floはアメリカで行われた「Anime Expo 2018」に出演させていただいたんです。4日間で12万人が集まる米国最大級のアニメイベントです。その時がアメリカでの初ライブでした。

会場は6000人規模で、99%が現地のお客さん。アメリカでライブをするとだいたいブーイングを食らうと聞いていたのでかなり緊張していました。でも、いざ演奏を始めると、お客さんたちみんなが、僕らの曲のサビのところを、手を振りながら日本語で歌ってくれたんです。ものすごくびっくりしました。

で、思ったんです。そりゃそうでしょうって。ここにいる人たちは、日本のカルチャーが大好きで、独立記念日の週末なのにわざわざ全米から集まってきた。そりゃあ盛り上がるよねって。

日本人のアーティストが海外進出する場合、アメリカ風にパッケージしてアプローチしようとします。でもそんな風にカッコつけたりしないで、ありのまま出て行った方が相手にパッションが伝わるし、シナジーが生まれて共鳴が生まれるんだなって。その時、強く感じました。
(後編へ続く)


入山章栄◎早稲田大学大学院経営管理研究科(ビジネススクール)教授。慶應義塾大学経済学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所を経て、2008年に米ピックバーグ大学経営大学院よりPh.D.を取得。同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクールアシスタントプロフェッサー。2013年から早稲田大学大学院経営管理研究科准教授。2019年から現職。著書に『世界の経営学者はいま何を考えているのか』『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』『世界標準の経営理論』

VERBAL◎m-flo、ラップグループTERIYAKI BOYZ(R)、クリエイティブユニット PKCZ(R)、HONEST BOYZ(R)のメンバー。国内外の数多くのアーティストとコラボレーションも行う。そのスタイルはファッション界からの注目も熱く、2008年にはデザイナーのYOONと共に2008年にファッションブランド「AMBUSH(R)」を創業しCEOを務める。これまでに Louis Vuitton(Kim Jones)、NIKE、sacai、Rimowaなど錚々たるブランドともコラボレーション作品を発表している。2016年9月に初の路面店、AMBUSH(R) WORKSHOPを渋谷にオープン

文=久野照美 取材・編集=田中友梨

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