捜査令状で見えたグーグルの「児童ポルノ検出」の舞台裏

Chris Jackson/Getty Images


問題コンテンツは2020年から倍増


一方、グーグルは近年、NCMECに問題を報告した回数を示す透明性レポートを開示しているが、そこから気になる傾向が見えてきた。2021年上半期には、41万件の報告で340万件以上の法に触れる可能性があるコンテンツが発見されたが、これは、2020年下半期の36万5000件の報告で発見された290万件を上回り、2020年上半期の数字の2倍をはるかに超える数字だった。

この記事の公開時点で、グーグルは、今回の捜査令状の件や、児童ポルノ関連のアニメ画像の検出方法についてコメントを出していない。また、カンザス州の司法省も、コメント要請に応じていない。フォーブスは、令状に記載されている容疑者のメールアドレスにメールを送ろうとしたが、アカウントが無効になっているようで送信できなかった。

アップルが、児童ポルノの発見に関するプロジェクトを延期して以来、他のハイテク企業がどのように対処しているかにスポットライトが当てられている。グーグルは、GメールやDriveなどのストレージ内のデータを、エンド・ツー・エンドで暗号化していないため、違法コンテンツをスキャンすることは可能だ。また、暗号化を導入する予定もないため、法執行機関は今後も、グーグルが不正な行為が行われた場合に警告を出すことに頼ることが可能だ。

グーグルのユーザーは、児童の虐待者を見つけるためにグーグルが顧客のアカウントをスキャンすることを望んでいるのだろうか。それともエンド・ツー・エンドの暗号化によって彼らのプライバシーを向上させることを望んでいるのだろうか。マウンテンビューを拠点とするテクノロジー業界の巨人は、そのバランスと永遠に格闘しなければならないだろう。グーグルのライバル企業も同じ課題に直面している。

編集=上田裕資

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