送電線の地中化で山火事を防止
カリフォルニア州で最近発生した最大規模の山火事では、送電線が原因の1つとされており、同州では送電線の地中化に対する圧力が特に強まっている。しかし、Petraの共同創業者兼CEOであるKimberly Abramsによると、岩盤が硬い地域でのトンネル掘削には、リニア・フット当たり6000〜2万5000ドルもの莫大なコストを要するという。
Petraは、柔らかい土質では200ドル、固い岩石では600ドル程度にまでコストを削減し、2022年後半に商用運転を開始することを目指している。同社は、エンジニアリング会社の下請けとしてプロジェクトに参加し、難易度の高いトンネル掘削を担当する予定だ。また、場合によっては自社でトンネル掘削工事を実施し、送電線を通したい電力会社に場所をリースすることも検討しているという。
「我々のミッションは、送電線の地中化をユビキタス化することだ。電力会社やその建設パートナーにとって最大の課題は、硬い岩盤に送電線を埋設することであり、我々はそれを解決するロボットの開発から着手している」とAbramsは語った。
彼女が、現在チーフ・プロダクト・オフィサーを務めるShivani Torresとともに2018年にPetraを設立したきっかけは、北カリフォルニアのパラダイスという町で発生した山火事だったという。この山火事は落下した送電線が原因だとされ、サンフランシスコに深刻な大気汚染をもたらした。
「2018年に気が付いたのは、災害が起きやすい地域のいくつかには花崗岩や玄武岩が分布し、電力会社や建設会社がトンネル掘削を中断して数十億ドル規模の予算超過を起こしたということだ」とAbramsは言う。
ライトは、テスラを退社後、初期の電動トラック開発会社だった「ライトスピード(Wrightspeed)」を2005年に設立したが、Petraから掘削技術を改善するためにスカウトされた。当初、Petraは高出力のプラズマトーチを用いていたが、実用性に欠けたという。
ライトは、掘削技術や地質学の専門家ではないが、メガワットバッテリーを用いるEVの開発に携わった経験が、Petra独自の技術を発展させることに有益だと期待された。ライトや、Petraの共同創業者であるAbramsとTorresは、競合他社に情報が洩れることを恐れ、破砕掘削システムの技術について詳細を開示しなかった。